症例3 たんぱく質・脂質の摂取量が問題になった症例
70代男性 (外来2型糖尿病患者)
HbA1c10.8%より、通常は朝夕2食CRAD対象だが、独居で自炊が多いという食生活環境から、夕食のみの1食CARDから開始した。まず、1ヶ月間試し、その後、昼食でも炭水化物の制限を開始した。治療開始から6ヶ月後、内服なしでHbA1c6.3%へ改善し、体重も5kg減少したが、たんぱく質・脂質の摂取量が不十分であったことが問題点として挙げられる症例です。
DM歴なし。HbA1c10.8%、BMI27。HbA1cの数値から朝夕2食CARDが適当だが、独居で自炊という食生活環境より、まずは夕食CARDから開始した。1ヶ月間実施し、順調に始めることができたので、もう1食、CARD食を増やすことを提案したところ、昼食で実施することは可能とのことより、昼夕食CARDを開始した。しかし、実際は昼食で炭水化物メインの献立が多く、完全に2食CARDは難しいため、できるときに実施するように話した(目標は隔日)。6ヶ月前後で摂取エネルギーは1911kcal から1286kcalへ、炭水化物は264gから146gへ大幅に減少したが、蛋白質は76gから71g、脂質も57gから44gと減少していた。摂取エネルギー比は、蛋白質は16%/eneから22%/eneへ増加、脂質は27%eneから31%eneへ増加、炭水化物は55%eneから46%eneへ減少した。これらの結果から、炭水化物摂取量が大幅に減少したにも関わらず、たんぱく質や脂質の十分な増量がないことが確認された。6ヶ月後にはHbA1c6.3%、体重は約5kg減少し改善が確認されたが、栄養相談では炭水化物制限に対するストレスを徐々に主張されるようになった。食事量(たんぱく質、脂質)が十分に増加していなかったことから、満足感が得られないことも理由と思われた。調理の手間を省くため、外食でのCARD食の実施や簡単な調理、総菜利用を勧め、食事量の増加を目指し栄養相談を継続している。最近は、HbA1c数値6.5%で安定しているため、炭水化物の制限を緩める方向でも検討している。