日本ローカーボ食研究会

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症例4 不安定ローカーボの症例

 安定したローカーボ食実施に至るまでに、不安定なローカーボ状態(不安定ローカーボ)に陥る症例がある。それは炭水化物摂取量だけではなく、脂質の摂取制限を含めた総摂取量が極端に減少する状態である。この状態では低血糖(DM薬内服の場合)、必要以上の体重減少を招く危険性、充分な満足感が得られずローカーボ食の継続が困難になることがあり、ローカーボ食指導開始3~6ヶ月後に陥りやすい傾向がある。

70歳代女性 (外来2型糖尿病患者)

 初診時HbA1c7.9%(JDS)、BMI:20.1、DM内服薬あり(アマリール(1)、グルコバイ(100))。食事を作るのは本人。1CARDを実施した。食事療法開始直後からアマリールを減量、メトグルコを追加したがHbA1cは悪化した。食事療法が順調であることは毎月の栄養指導で確認していた。3ヶ月後内服薬をさらに変更しHbA1cは改善傾向を示し、7ヶ月後にはHbA1c6.8%まで改善した。BMI:19.0で体重は維持することができた。しかし、この間に不安定ローカーボ状態に陥っていた。

開始前からの総エネルギーは1636kcalから3ヶ月後には1569kcal、6ヶ月後には1083kcalまで減少し続け、たんぱく質、脂質、炭水化物の摂取量は開始前P:F:C(g)=105:35:215から3ヶ月後にはP:F:C(g)=90:75:130、6ヶ月後にはP:F:C(g)=53:40:125へと炭水化物制限をしながらも脂質・たんぱく質の制限も行うという不安定な摂取状態になった。当時の患者の印象としては、HbA1c数値は改善しないが食事療法はしっかりやっているという気持ちが強かった。しかし、3ヶ月以降、朝食や夕食でも食事量を減らし、脂質も控えた摂取状態からローカーボ食への不安を感じていたのかもしれない。

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 現在、このような不安定ローカーボに陥る原因は、HbA1c数値の悪化・改善による不安や喜びからの過度な総摂取量制限や脂質摂取への不安感・指導不足、ローカーボ食による食欲の低下、年齢による脂質摂取への抵抗などと考えられている。食事療法開始直後に安定したローカーボ食が実施できるかは、その後の食事療法継続率へも直接的に繋がることが予想されるため、このような状態に陥ることはできるだけ避けたい。

そこで、不安定ローカーボに陥らないために医療者側が留意すべき点は、

1)DM薬変更による急激なHbA1c値悪化を避ける

2)極端な総摂取量の制限は逆効果であることを理解してもらう

3)脂質摂取の不安を解消する指導

などであると考えている。

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