日本ローカーボ食研究会

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序論

 食事負荷試験は、血糖値および血清インスリン濃度は糖質摂取量に大きく依存していることが証明している。対照的に食物のタンパク質、脂質は血糖値および血清インスリン濃度にほとんど影響を与えない。

様々な糖質源を摂取した後の血糖値の上昇はそれぞれの糖質源によって大きく異なり、ジャガイモあるいは米由来の50gの糖質を食べるとそれぞれ同じ量のブドウ糖由来糖質を食べたときの血糖値は2/3および1/2上昇させる。それにも関わらず、2型糖尿病患者におけるHbA1cに対する糖質源の直接的な影響に関する定量的な情報は、果糖を含む糖類および果物を除いてほとんど報告されていない。これはおそらく数ヶ月もの間、糖質が豊富な食品を多く含む食事を患者に強いることが倫理的に難しいからであろう。その一方で、多くの介入研究は2型糖尿病患者において低糖質食は低脂肪食に比べて血糖コントロールに有益な効果があることが明らかにしている。しかし、そのほとんどの研究が総糖質摂取量のみに注目しており、各糖質源のHbA1cへの影響を無視している。
 私たちが過去に行った研究では、ゆるやかな糖質制限食によって治療した2型糖尿病患者において、糖質摂取量の減少がどれほどHbA1c低下に及ぼすかという観点で研究目標を設定した。そして%糖質(総エネルギーに対する糖質の割合)がHbA1cの変化と相関しないこと、106gの総糖質摂取量の減少によってHbA1cが1.0%低下することを証明した。しかし、ゆるやかな糖質制限を行った患者の中には、私たちが予想した以上にHbA1cが低下した患者が存在した。私たちは、これは糖質源の影響を考慮していなかったためだと推測した。さらに、私たちの最近の観察研究によって、糖尿病治療薬を服用していない2型糖尿病患者では、米より摂取量の少ないソフトドリンクや麺類由来の糖質が男性では米由来の糖質より大きくHbA1cに影響したが、女性では影響しないことが示された。
臨床現場において2型糖尿病患者は、目標とするHbA1cを効率的に達成するためにどの糖質源を優先的に減らすべきか具体的な指導を必要とする。患者が様々な糖質源由来の糖質の摂取量を50g減らす場合、それは茶碗1杯の米飯、500mL1本のソフトドリンク、2枚の食パン、菓子類として大きな1切れのケーキ、1杯のラーメンに相当するが、それぞれの糖質源の減量によってどれだけHbA1cを低下させるのだろうか?また、様々な糖質源を減量することよって得られるHbA1cの低下は、同じ糖質量を含む米飯を減らすことによって得られる効果と相違があるのだろうか?
上記を考慮し、6ヶ月間ゆるやかな糖質制限食で治療した2型糖尿病患者において、男女別に、様々な糖質源の減量によるHbA1c低下へお効果を研究し比較するために、私たちはこの研究をデザインした。HbA1cの変化に対して誤った評価を導く可能性があるため、私たちはあらゆる糖尿病治療薬を服用している患者を除外した。
 

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