日本ローカーボ食研究会

日本ローカーボ食研究会

第1回定期強会に参加して.3

第1回定期勉強会に参加して  医師 平松秀樹

 平成23年10月29日第一回日本ローカーボ研究会定期学習会に出席させていただきました。
前半は、灰本先生提供の症例を1グループ5~6人の3組に分かれて相談し、代表者が提示するという検討会を行いました。症例はHbA1cが7.9%、SU剤内服中でBMIが20.1の痩せぎみの74才の女性です。インシュリンの分泌不全が基礎にあり、収縮期200㎜Hg以上の重症高血圧と脂質異常(LDLコレステロールが188mg/dl)を伴っています。約20分の相談後、治療方針を提出しました。どのグループもおおよそ統一した見解で、糖尿病に対しては1食もしくは2食抜きのマイルドな炭水化物制限食で体重減少を防ぎつつ、主にメトホルミンで治療し、ACE阻害剤もしくはARB製剤+腎糸球体内圧を挙げないタイプのCa拮抗薬および降圧利尿剤で高血圧を治療し、スタチン製剤で脂質異常症には対処するという結論に達しました。

開業医は孤独な世界です。一応さまざまな文献や研究会などで知識を得て、最近のメタボ対策を含めた医療をしているつもりですが、世間で行われている治療とずれてはいないか心配になることがあります。この討論により、自分の方向性が間違っていなかったことがわかり安心しました。さらに同じグループに居合わせた小早川先生からメトホルミンの使い方や重要性などを学び、ローカーボ食により、HOMA ‐Rの改善や尿中アルブミンの減少が認められるという灰本先生オリジナルの最新のデータを折り込んで見せていただき新たな発見も得られました。 また、糖尿病患者の初診時における問診項目において、ソフトドリンク症候群の有無の重要性にも共感を覚えました。

この症例の実際の経過は、ローカーボ食の開始とともに、理想論に従いSU剤の中止をするというものでした。世の常で、結果は思うようには進まず、HBA1cは悪化して行きます。タイミングよく、この後の経過を聞かせていただく前に、私たち聴衆者に考える時間を頂きました。このthinking timeも印象付けにはとてもよかったと思います。私的にはDPP4阻害薬ありかな?もしくはローカーボ食の強化か?と考えたのですが、結果としては、この症例の気質が薬剤依存の強い性格であることもあり、止むを得ずSU剤の再開となり、落ち着くという現実的なストーリーでした。しかし、数字は落ち着いたものの何故か症例自身が摂取総カロリーの制限をすることになり、問題点が残りました。典型的な経過ではないが故に、なかなか考えさせられるよい症例検討で、勉強になりました。時間が許せば、この段階でも3グループもしくは2~3人に回答させてもよいかもしれないと思います。

 後半は、灰本先生がNutrition&Metabolismという雑誌に2009年に投稿されたEffects of a low-carbohydrate diet on glycemic control in outpatients with sever type 2 diabetes という論文(外来患者2型糖尿病の2年間の追跡において45%の緩やかな炭水化物制限食は、高炭水化物食に比べHbA1cを有意に減じたというもの)を、灰本クリニックの管理栄養士でありながら英文の論文を書いてしまうという篠壁さんとじん薬局の薬剤師さんが抄読してくださいました。
勤務医時代にもあまり英文を読まなかった私にはお二人がスムーズに英文を読んで訳される姿には尊敬と感動の念を覚えました。名古屋ハートセンターの米田先生にコメントをいただきながら読んでいきましたが、日本語を英文にする場合の単語や慣用句の使い方が難しく、苦労がしのばれます。今後も、最新の英文の論文をおしらせいただけると期待しております。甘えすぎかもしれませんが、抄読した部分の日本語訳が(抄読後でもよいので)提示していただけたら有難いと感じました。

 最後に秘書さんが配っていただいた、シュガーレスキャンディーとチョコが思いの他おいしくて甘く、場を和ましてくれました。今後の展望として思ったことは、このような多職種参加の会は、どうしても医師が主導することにはなってしまいますが、薬剤師さん、栄養士さん達も発言できる場があればよいかと思います。しかしながらこの会は、グループで検討するということを主体にしており、すなわちこれは全員参加につながることになり、他の一般の研究会では味わえない、出席者に後に有意義さと満足感を残すものになると感じました。

名古屋市名東区 平松クリニック 平松秀樹

おすすめコンテンツ

賛助会員

協賛医療機関

医療法人芍薬会灰本クリニック むらもとクリニック 内科・漢方 安井医院