日本ローカーボ食研究会

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赤肉摂取と総死亡

ハーバード大学公衆衛生学部、栄養疫学部の研究グループは男3.7万人、女8.3万人の計12万人を平均20年追跡して食事内容と総死亡の関係を解析してすでにたくさんの英論文(毎年70編も書いている)を出し続けています。男はHealth Professionals Follow-up Studyと女はNurse’ Health Studyとして有名です。

赤肉とその加工食品摂取と総死亡の関係

このグループから発表された「赤肉とその加工食品摂取量が多いほど将来の糖尿病発症が増える」という研究成果はすでに紹介しましたが、つい最近、さらにそれらが総死亡も増やすという結果が発表されました(Pan A, et al. Red Meat Consumption and Mortality. Arch Inter Med. March 12, 2012)。

この研究を以下に要約しました。20年間に約2.4万人が死亡、食事内容の詳細は約4年毎にネットを使って入力する方法を使っています。

全赤肉(生赤肉+加工食品)摂取量を5分割(少ない方からQ1→Q5群)して、Q1群を1.0とするとQ5群に向かって総死亡ハザード比は次第に有意に上昇していき、Q5はQ1に比べて1.30、つまり総死亡は3割増えていました。生赤肉では1.23、加工赤肉でも1.23増えていました。男女とも同じ傾向でした。

心脳血管死ではQ1に対してQ5では1.40、癌死では1.19で、いずれも有意でした。

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さらにこのグループは詳細な解析を加えており、赤肉とその加工食品をナッツ類(Nuts)、鶏肉(Poultry)、全粒穀類(Whole grains)、豆類(Legumes)などに置き換えると、ハザード比は15-20%ほども減少する、つまりかなり総死亡を予防できることを明らかにしています。

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ローカーボとの関連

この研究結果とローカーボ(低炭水化物、糖質制限)との関わりでが重要です。この12万人の食事調査の糖質負荷量を見ると、Q1で最も多くQ5で最も少なくなっています(Q1の1/2量)。つまり総赤肉摂取量が多いほど糖質摂取量は減っており、言い換えるとローカーボを実行しています。仮にQ1が55~60%炭水化物率とするとQ5では30%炭水化物率かそれ以下となります。Q5群は見方を変えれば厳しいローカーボ群に一致します。

ハーバード大学のグループは、ローカーボと総死亡の関係も論文化しており、炭水化物制限を厳しくすればするほど総死亡(癌死も心脳血管死も増える)が増え、それは動物性脂肪・蛋白質の摂取量が増えることが主因であることを明らかにしています。これらから類推すると、厳しいローカーボで総死亡が増えるのは、動物性脂肪・蛋白のうち赤肉とその加工食品が最大の危険因子のようです。

今後のローカーボの方向

このグループの食事と総死亡に関する力強くて連続した論文群、そのうちローカーボに関する複数の研究は、欧米の厳しいローカーボを信奉する研究者に致命的な打撃を与えました。それ以降、厳しいローカーボを主張する論文はめっきり少なくなったことはPubMedでローカーボ論文を監視している私の目から見ても歴然としています。ローカーボが向かうべき方向が緩やかな低炭水化物、糖質制限であることはもはや疑いようがありません。

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