ローカーボ教科書「正しく知る糖質制限食」
この本の哲学
何が正しく、何が間違っているかの評価の基準をどうすべきか? という問いに、ヘモグロビンA1cや血糖値、体重、それに血清脂質を改善するという理由だけで糖質制限食が正しいと評価してよいのでしょうか? もっと長期的で本質的な理由、つまり死亡の危険が減るかどうかを評価の基準として加える方が誰がみても一番納得できるのではないでしょうか、このコンセプトで命と糖質(炭水化物)の本質に迫ります。
技術評論社より11月発刊 税別 1,680円
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目次
巻頭言◎安井廣迪………………2
第1章 この本を読まれる方々に………………4
序 章 糖質制限食(ローカーボ)の背景にあること◎灰本 元、中村 了 11
序 - 1 今までの常識を覆した近年の大規模な追跡研究………………12
序 - 2 メタボリック症候群の国アメリカと日本では死因が大きく異なる………………13
序 - 3 日本人では痩せれば痩せるほど死亡の危険が増える………………14
序 - 4 日本人の炭水化物も総摂取カロリーも大きく減ったが、脂質は増えていない………………16
序 - 5 日本人では脂質を食べる方が死亡の危険は減る………………18
序 - 6 赤肉(牛肉、豚肉とその加工品)摂取量と死亡の危険、糖尿病の発症………………21
序 - 7 糖尿病ではヘモグロビンA1c7・5%でもっとも死亡の危険が減る………………24
序 - 8 死亡の危険を悪化させるのは高血糖よりもむしろ低血糖………………25
序 - 9 もはや大血管障害(脳血管障害、虚血性心疾患)は糖尿病の合併症とは言えない………………26
序 - 10 糖尿病では癌が増える………………27
序 - 11 糖尿病で認知症が増える………………28
序 - 12 目標のヘモグロビンA1c値をゆるめ、できるだけ糖尿病薬を使わず癌死と認知症を減らす………32
第1章 まず糖質制限食(ローカーボ)を理解しよう◎灰本 元 35
1 - 1 三大栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質)の役割………………36
1 - 2 エネルギー源としての炭水化物と脂質の違い………………37
1 - 3 カロリー制限食と糖質制限食の24時間の血糖値の推移………………38
1 - 4 糖質制限食(ローカーボ)の定義と種類………………42
1 - 5 カロリー制限食と糖質制限食(ローカーボ)のエネルギー源の1日………………45
1 - 6 エネルギー源としてのケトン体は安全か?………………46
1 - 7 糖質制限食の方法とその表示法………………49
1 - 8 炭水化物の摂取量をグラム/日で表示すべし………………50
1 - 9 まず自分の1日の炭水化物の量を知ること………………52
1 - 10 糖質制限食(ローカーボ)で変わる体の変化―体重低下、血糖と血清脂質の改善………………53
1 - 11 糖質制限食(ローカーボ)の肝臓代謝――中性脂肪が下がり、HDLコレステロールが上がるワケ…………55
コラム ● 縄文人もかなり炭水化物を食べていた科学的証拠◎灰本 元………………59
第2章 糖尿病をコントロールするために◎小早川裕之、灰本 元 61
2 - 1 血糖値の調節と糖尿病………………62
2 - 2 2型糖尿病の原因――インスリン分泌障害とインスリン抵抗性………………63
2 - 3 血糖コントロールの指標、ヘモグロビンA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)………………66
2 - 4 糖尿病の合併症………………66
2 - 5 糖尿病治療の目標は?………………69
2 - 6 カロリー制限食の限界………………70
2 - 7 結局薬に依存している現在の糖尿病治療………………71
2 - 8 2型糖尿病の食事療法に求められる条件とは………………72
2 - 9 ゆるやかな糖質制限食(ローカーボ)による2型糖尿病の治療の実際………………74
2 - 10 ゆるやかな糖質制限食(ローカーボ)の実例………………77
2 - 11“やせ糖尿病”の糖質制限食(ローカーボ)………………87
コラム ● 飲酒と肝臓の代謝と糖質制限食(ローカーボ)◎加藤 潔………………100
第3章 糖質制限食(ローカーボ)と肥満、脂質異常症◎中村 了 103
3 - 1 肥満と脂質異常症………………104
3 - 2 まずは、肥満について………………104
3 - 3 日本の大規模観察研究からわかること――痩せの方がハイリスク………………105
3 - 4 疾病構造から体重と寿命を見なおすと………………108
3 - 5 ちょっと冷静に――“長寿な体重”と“適切な体重”………………109
3 - 6 糖質制限食(ローカーボ)はダイエットに有効か………………111
3 - 7 こんどは、脂質について………………112
3 - 8 LDLコレステロールとHDLコレステロールと中性脂肪………………113
3 - 9 糖質制限食(ローカーボ)によるHDLコレステロールと中性脂肪への効果………………114
3 - 10 糖質制限食(ローカーボ)とLDLコレステロール………………117
3 - 11 いつ? どんな体重で? 糖質制限食(ローカーボ)をするか、で効果が変わっちゃう!?………………120
3 - 12 日本人における糖質制限食(ローカーボ)による脂質データの動き………………124
3 - 13 私の診察室での脂質の動き(LDLコレステロールにこだわって)………………127
3 - 14 症例(肥満・脂質異常症に関して)………………128
3 - 15 体重と脂質に関する糖質制限食(ローカーボ)の“基本原則”――そして “課題”…………134
第4章 病状に応じて糖質制限食(ローカーボ)を使い分ける◎灰本 元 137
4 - 1 糖質制限食(ローカーボ)を病状に応じて使い分けるという発想………………138
4 - 2 軽症糖尿病ではゆるやかな制限、重症糖尿病ではやや厳しい制限………………143
4 - 3 初診時のヘモグロビンA1c値に応じて炭水化物の制限量を層別化する………………144
4 - 4 層別化による治療例を見てみよう………………148
4 - 5 最新の考え方――前と後の炭水化物を食べる量の差に注目………………154
4 - 6 ゆるやかな糖質制限食(ローカーボ)で総摂取カロリーは激減する………………155
4 - 7 体重が減った量と炭水化物が減った量は直接の関係はなさそう………………156
コラム ● 心臓手術の立場からみた糖質制限食(ローカーボ)◎米田正始………………159
第5章 糖質制限食(ローカーボ)の実施と表で覚える糖質量◎篠壁多恵 163
5 - 1 糖質制限食(ローカーボ)は計算がいらない! 食事量も制限なし!………………164
5 - 2 表で覚える、炭水化物(糖質)が「多い」「中くらい」「少ない」食品………………164
5 - 3 糖質制限食(ローカーボ)の大切な栄養素は「脂質」………………166
5 - 4 飲んでも大丈夫なお酒はこれ!………………166
5 - 5 糖質制限食(ローカーボ)ではどのように食べるものや栄養素は変化する?………………167
5 - 6 外食、間食、献立の糖質制限情報………………172
5 - 7 うまく実行できないケースとその対応………………178
5 - 8 飽きない糖質制限食(ローカーボ)のコツ………………180
5 - 9 表を見ながら糖質制限食(ローカーボ)………………181
コラム●ある糖尿病患者のアルコールを飲んだ後の血糖値の変化◎村坂克之…………187
第6章 糖質制限食(ローカーボ)の課題と展望◎灰本 元、米田正始 191
6 - 1 糖質制限食(ローカーボ)の課題………………192
6 - 2 糖質制限食(ローカーボ)の展望………………205
補 遺 生命進化から見た糖質代謝の意義とポイント◎加藤 潔 213
補 - 1 生命の誕生と細胞の進化………………214
補 - 2 ブドウ糖代謝の進化………………218
補 - 3 生命とブドウ糖代謝………………220
ローカーボ・ミュージアムにようこそ――あとがきに代えて◎安井廣迪………………223
引用文献・参考文献………………229
索引………………238
巻末付録
食品(食材)別の糖質量………………235
糖質を多く含む注意すべき食品(食材)………………233
献立(メニュー)別の糖質量………………231
◎柴田典子
編著者
特定非営利活動法人(NPO法人)日本ローカーボ食研究会
日本ローカーボ食研究会は、医療、食品、製薬、研究、行政、患者さんなど幅広い方々にローカーボ(ゆるやかな糖質制限食)の利点や課題などを含めた科学的知識を普及するために医師や管理栄養士によって2011年3月に設立、2012年5月に特定非営利活動法人となった。
主な活動は、学術総会の主催、講演、セミナーの開催、臨床研究の推進、ホームページで最新の科学的情報の発信など。
詳細はホームページをご覧ください(https://low-carbo-diet.com/)。
安井廣迪
医師、安井医院院長、NPO法人日本ローカーボ食研究会理事
1947年三重県生まれ
1972年順天堂大学医学部卒業
国立東静病院、北里研究所附属東洋医学総合研究所などを経て、1988年に三重県四日市市にて安井医院を開業。
専門は内科、漢方医学、医史学
灰本 元
医師、灰本クリニック院長、NPO法人日本ローカーボ食研究会理事長
1953年山口県生まれ
1978年名古屋大学医学部卒業
関東逓信病院(現NTT東関東病院)内科レジデント、名古屋大学医学部大学院(病理学)、愛知県がんセンター研究所病理部、中頭病院内科(沖縄市)などを経て、1991年に愛知県春日井市にて灰本クリニックを開業。
主な診療は高血圧、癌の診断、ローカーボ食、漢方医学、臨床心理など
中村 了
医師、医療法人瑞心会 渡辺病院統括部長、NPO法人日本ローカーボ食研究会理事
1970年愛知県生まれ
1994年 名古屋大学医学部卒業
市立四日市病院(研修医・麻酔科・消化器内科)、名古屋大学大学院医学研究科老年科学大学院、中京クリニカル院長を経て、2013年から現職。
主な診療は老年医学、東洋医学、ローカーボ食など
小早川 裕之
医師、小早川医院院長
1957年 長野県生まれ
1983年 名古屋大学医学部卒業
東京逓信病院内科研修医、名古屋大学医学部大学院(免疫内科学)、名古屋大学医学部付属病院分院内科、小牧市民病院内科、豊腎会保見クリニック院長を経て、2007年に名古屋市昭和区にて小早川医院を開業。
主な診療は高血圧、腎臓病、糖尿病、ローカーボ食、心療内科など
加藤 潔
名古屋大学名誉教授、NPO法人日本ローカーボ食研究会理事
1943年愛知県生まれ
1966年名古屋大学理学部卒業
名古屋大学理学部助手、同情報文化学部助教授、同教授、同大学院理学研究科教授を経て2007年退職
専門は植物の膜輸送システムと生長の生理
米田正始
医師、NPO法人日本ローカーボ食研究会副理事長
1955年奈良県生まれ
1981年京都大学医学部卒業
天理よろづ相談所病院レジデント、トロント大学トロント総合病院心臓血管外科臨床フェロー、スタンフォード大学心臓血管外科フェロー、メルボルン大学オースチン病院心臓血管外科助教授・主任外科医、京都大学心臓血管外科教授、名古屋ハートセンター副院長を経て現職。
専門は心臓血管外科手術、弁形成、低侵襲手術、ローカーボ食の術前術後管理への応用など
篠壁 多恵
管理栄養士
1977年岐阜県生まれ
1998年関西外国語大学短期大学部卒業
2002年名古屋市立栄養専門学院卒業
飲料メーカーを経て2007年から2013年まで灰本クリニック勤務の後、名古屋大学大学院へ進学
専門はローカーボ食による糖尿病の治療、栄養疫学
村坂克之
柔道整復師、鍼灸師、小又接骨院院長
1961年岐阜県生まれ
45歳頃より食後高血糖(耐糖能障害)を認めるが食事に無頓着、当時は米などの糖質も三食しっかり食べ、ビールも飲んでいた。49歳で糖尿病(軽症)を発症、すぐにゆるやかな糖質制限に取り組み、経過良好にて現在に至る。
専門は運動器疾患への加圧トレーニングの応用、肩こり腰痛への巨鍼療法など
柴田典子
管理栄養士
1968年愛知県生まれ、
1991年名古屋女子大学家政学部卒業
食品会社、老人保健施設などを経て2012年から灰本クリニック勤務
専門はローカーボ食による糖尿病の食事療法