肥満につながる砂糖飲料と人口甘味飲料:システマテックレビューとメタアナリシス
Sugar and artificially sweetened beverages linked to obesity: a systematic review and meta-analysis
D. Ruanpeng et al. QJM: An International Journal of Medicine, 2017, 513-520
doi: 10.1093/qjmed/hcx068
背景:
カロリーを減らすためにその戦略の一つとして人工甘味料が砂糖の代用として広く使われている。しかし、肥満リスクと人工甘味料飲料消費との関係は議論が続いている。このメタアナリシスは砂糖飲料と人口甘味飲料の消費と肥満の関係を評価することを目的とした。
方法:
文献検索はMEDLINE、EMBASE、Chochrane Database of Systematic ReviewsとCochrane Central Register of Controlled Trialsなどの初めから2015年3月までを使って行った。砂糖飲料あるいは人口甘味飲料を消費した患者VS消費しなかった患者において相対危険度、オッズ比、ハザード比を記載した研究が対象となった。プールリスク比、や95%信頼区間はrandom-effect, generic inverse variance法を用いて計算した。
結果:
11の研究が私たちの目的のために含まれた。砂糖飲料を消費する患者での肥満のプールリスク比は1.18(95%信頼区間は1.10~1.27)であった。3つの研究では人工甘味料の消費と肥満の関係の評価を行っていた。人工甘味料を消費する患者での肥満のプールリスク比は1.59(95%信頼区間は1.22~2.08)であった。
まとめ:
私たちの研究は砂糖飲料および人工甘味料飲料の消費と肥満には統計的に有意な関係があることを示した。この所見は砂糖飲料と人工甘味料飲料の両方が肥満リスクへ陰性の臨床的な影響があることへの疑問と配慮を起こさせる。
感想:
人工甘味料は腸内細菌のかく乱を引き起こすことによって耐糖能を悪化させるという極めて詳細な実験が2014年のNatureに掲載された。この論文は人工甘味料の是非にとどめを刺す一撃となった。さらに2017PlosOneはこれまで人工甘味料が肥満や糖尿病に有効であるという研究のほとんどが食品会社から研究資金をもらっていること、もらっていない研究のほとんどが人工甘味料にはそのような効果がないと報告していることを暴露した。以後のアメリカ栄養学会をはじめとする臨床栄養関係の専門誌は、こぞって人工甘味料に効果がないとうい無作為化比較試験の論文を掲載するようになり、食品会社から資金をもらっている研究を掲載しなくなっている。至極、まっとうな方向へ世界が向かっている。
現在、多くのローカーボ食品に含まれる人工甘味料が腸内細菌へダメージを与えるというなら、肥満や糖尿病にかぎらず多方面の疾患を引き起こす可能性が高い。かつてのサッカリンの末路を見るが如く人工甘味料に未来はないと思う。
(医師 灰本 元)