日本ローカーボ食研究会

日本ローカーボ食研究会

人工甘味料および糖甘味飲料摂取と2型糖尿病の発症:癌と栄養に関するヨーロッパの前向きコホート研究

Consumption of artificially and sugar-sweetened beverages and incident type 2 diabetes in the Etude Epide´ miologique aupre` s des femmes de la Mutuelle Ge´ ne´ rale de l’Education Nationale–European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition cohort
Guy Fagherazzi et al. Am J Clin Nutr 2013;97:517–23

背景:
 砂糖飲料は2型糖尿病の増加リスクと関係があることは主にアメリカ人ではよく知られているが、人工甘味飲料についてはその効果は知られていない。

目的:
 私たちは、自己申告の砂糖飲料、人工甘味飲料、100%果物ジュースの消費量と2型糖尿病発症リスクの関係についてNationale–European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition cohortを14年間追跡して調査した。

デザイン:
 66118人の女性を1993年から追跡して、1369人の2型糖尿病が発症した。ハザード比と95%信頼区間の計算のためにコックス回帰モデルが使われた。

結果:
 1週間の平均消費量は砂糖飲料で328ml、人工甘味飲料で568mlであった。消費量を4群間で解析すると、それら消費しない群に比べて最も消費量が多かった群(砂糖飲料で359ml/週以上、人工甘味飲料で603ml/週以上)ではハザード比は砂糖飲料で1.35(1.05 - 1.71)、人工甘味飲料では2.21(1.56-3.14)であった。2型糖尿病発症においては4群間に強い正のトレンドが両方の飲料で観察された(砂糖飲料:P = 0.008、人工甘味飲料:P < 0.00001)。感受性解析において、その関係はまだ強い明らかに独立した効果であったが、一部の関係はBMIを介するものであった。100%果物ジュース消費量では関係が見られなかった。

結果:
 砂糖飲料と人工甘味飲料の両方の消費量は糖尿病発症リスクの上昇と関連があった。私たちは人工甘味料消費以外のコントロールできない発症要因を除外することはできない。そして、人工甘味飲料消費と2型糖尿病発症の関係の原因を証明するために、無作為化試験が必要である。

読後感想:
 この大規模観察研究の結果は、前回に紹介した結果とはやや異なっており、砂糖飲料よりも人工甘味料の方が糖尿病発症危険度はかなり高くなっている。砂糖飲料の消費には心理的に抑制がかかるが、ダイエット飲料というまやかしの名称がついた人工甘味飲料には心理的垣根が低くなる。それを反映して平均消費量は人工甘味飲料の方が多い。量の制限をしにくい食品となっているのが怖い。
 人工甘味料の消費が増える人ほど肥満や2型糖尿病の発症リスクが高くなるという大規模観察研究の結果はかなりの数に発表されている。肥満では少しのランダム化比較試験(砂糖飲料と)が行われているが、PubMedで調べた範囲内では2型糖尿病を目的とした大規模なRCTの発表はない。
 大規模観察研究では人工甘味料が砂糖飲料に比べて健康に優れているという結果はまったくないのだから、大量に出回っている人工甘味料を使ったローカーボ食品には手を出すべきではない。

おすすめコンテンツ

賛助会員

協賛医療機関

医療法人芍薬会灰本クリニック むらもとクリニック