27.糖尿病薬を使って厳しく血糖をコントロールするとQOLが落ちる
SU剤とミチグリニドを使っている高齢者患者では厳しい血糖コントロールはADL身体活動依存性の損失と関連している!!
糖尿病薬を使って厳しく血糖をコントロールするとQOLが落ちる
Tighter glycemic control is associated with ADL physical dependency losses in older patients using sulfonylureas or mitiglinides: Results from the DIMORA study Abbatecola A.M. et al., Metabolism, 2015. 64(11): p. 1500-6.
背景:高齢者2型糖尿病患者への厳格な血糖コントロールは有害性が有益性を上回るというエビデンスが広まってきている。それでも厳格な血糖コントロール(HbA1cを下げる)が高齢で虚弱な2型糖尿病患者における機能障害と関連しているかどうかについて議論の余地がある。
我々は糖尿病老人ホーム(NH)に入所中の患者においてA1cと日常生活活動性(ADL)の損失の関連性について研究した。
糖尿病治療法:食事療法、経口薬治療(AOD)、インスリン、経口薬+インスリン別の違いを検証した。
方法:我々はイタリア中の150地点のNHから高齢者2型糖尿病患者1845例について横断研究を実施した。完全な日常生活の評価、血糖コントロール、糖尿病治療、合併症、臨床データを記録した。A1cの3群間について臨床的な特徴を比較するためにANOVAが適応された。多変量解析がA1cと日常生活の損失との関連性を評価した。
結果:患者は平均82歳(SD8)、BMI25.5(4.7)、空腹時血糖値7.4mmol/l(3.0)(133.2mg/dl)、食後血糖値10.3mmol/l(3.6)(185.4mg/dl)、A1c7.0%、日常生活の損失3.7(1.8)だった。最も高いA1c群に比べて,最も低いA1c群はADLの損失がより大きく,経口薬の使用の傾向が強かったが、インスリンとインスリン+経口薬の併用の傾向は低かった。複数の交絡因子を調整したころ、ADLの障害はより厳しいA1cレベルに関連していた(B=-0.004,p=0.002)。糖尿病治療別の回帰分析はAODを使った患者において,より厳しいA1cレベルがADL損失の独立した決定因子として留まっており(B=-0.023, p=0.001),特にスルフォニル尿素薬(B=-0.043, p<0.001)とミティグリニド使用患者(B=-0.044, p=0.050)でそうであった。
結論:厳格な血糖コントロールはADL身体活動依存性損失と関連しており,とくにスルフォニル尿素薬とグリニドの使用が関連していた。