日本ローカーボ食研究会

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211.イギリス2000-2017における心不全の診断後の生存率の傾向:集団ベースのコホート研究

Trends in survival after a diagnosis of heart failure in the United Kingdom 2000-2017: population based cohort study
BMJ 2019;364:l223 | doi: 10.1136/bmj.l223

~要約~
【目的】
心不全の診断を受けた人々の短期および長期生存率の信頼できる推定値を報告し、診断、入院、および社会経済的集団の年ごとの傾向を経時的に評価する。

【デザイン】
人口ベースのコホート研究。

【設定】
イギリスにおけるプライマリケア。

【参加者】
2000年1月1日から2017年12月31日までの期間、臨床実践研究データリンクや入院患者の病院エピソード統計および全国統計局の死亡率データにリンクされて記載されている、45歳以上の心不全の新しい診断を受けた55959人と、278679人の年齢および性別が一致したコントロールのプライマリケアデータ。

【主要評価項目】
1年、5年、10年の生存率と心不全のある人とない人の死亡原因。および診断年数、入院日数、社会経済的集団による生存率の経時的傾向。
【結果】全体として、1年、5年および10年生存率は6.6%(2000年の74.2%から2016年には80.8%)、7.2%(2000年の41.0%から2012年には48.2%)、および6.4%(2000年の19.8%から2007年には26.2%)にそれぞれ増加していた。試験期間にわたって心不全群では30906人の死亡があった。心不全は、これらの患者のうち13093人(42.4%)の死亡診断書に記載されており、2237人(7.2%)ではそれが主な死因であった。生存期間の改善は、診断の時期前後に入院を必要としなかった患者でより大きかった(中央値の差2.4年;5。3対2.9年、P <0.001)。生存期間の中央値には、最も貧困でない人々と最も貧困な人々との間に2.4年の剥奪ギャップがあった(11.1対8.7年、P <0.001)。

【結論】
心不全と診断された後の生存率は21世紀にはわずかな改善しか示されておらず、癌などの他の深刻な病状に遅れをとっている。すべての社会経済的グループのためのプライマリーケアにおいてタイムリーな診断と治療開始を達成するための新しい戦略は、将来の研究と政策にとって優先事項であるべきだ。


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【感想】
高齢化に伴って心不全を発症する患者さんは増えているが、発症後の5年生存率は40%程度で多くの癌より悪いと言わざるを得ない。癌の進行度にもよるが、全体で見ると胃癌(5年生存率:約75%)や大腸癌(約70%)より悪く、肺癌(約40%)や肝臓癌(約40%)、食道癌(約40%)とほぼ同等で、膵臓癌(約10%)よりは良いといった印象である。心不全の発症を予防するためには、動脈硬化の元となる高血圧や糖尿病、高コレステロール血症などを治療するしかないのだが、高血圧と加齢のみでも発症する患者さんも少なからず経験する。国民の2人に1人が高血圧を発症する我が国で、今後高齢化が進むことを考えると完全な予防策はないとも言える。画期的な新薬が出てくる可能性もないわけではないが、現時点では高血圧や糖尿病、高コレステロール血症を真摯に治療し、心不全の発症を事前に察知して適切に介入できるように医師としての感覚を磨いていくしかない。

灰本クリニック 灰本耕基
 

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