日本ローカーボ食研究会

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41.一般的なスルホニルウレア薬を併用するワーファリンの服用と重篤な低血糖症発症の関係

一般的なスルホニルウレア薬を併用するワーファリンの服用と重篤な低血糖症発症の関係:後ろ向きコホート分析
Association between use of warfarin with common sulfonylureas and serious hypoglycemic events: retrospective cohort analysis.
John A Romley et al.
BMJ (2015) 351:h6223 │ doi: 10.1136/bmj.h6223

研究課題:ワーファリンの使用は、SU剤のグリプジドとグリメピリドで治療を受けている高齢者で、重篤な低血糖発症リスクの増加と関係があるか?

方法:これは65歳以上の医療報酬サービス受益者の中から20%をランダムに抽出して得た薬局と医療請求の後ろ向きコホート分析である。これには2006年~2011年の間でグリピジド又はグリメピリドを処方された465,918人の糖尿病の受益者が含まれ(4半期毎に括ると4,355,418人);71,895人(15.4%)の患者は同時にワーファリンの処方を受けていた(4半期毎に括ると416,479人がワーファリンを服用)。主な評価基準は一次診断が低血糖症の救急受診または病院入院で,4半期毎に括った人数でワーファリンとグリピジド/グリメピリドの同時処方の場合とグリピジド/グリメピリド単剤処方の場合について頻度を比較した。多変量のロジスティック回帰分析は個々の特徴を調節するために使われた。副次的評価項目に骨折と関係する転倒と意識/精神変性状態を含めた。

解答の要約と限界:グリプジド/グリメピリド使用の4半期で、ワーファリンの非併用に比べ併用により低血糖による入院または救急受診がより起こりがちであった(294/416,479 vs.1,903/3,938,939;調節オッズ比は1.22、 95%信頼区間1.05~1.42)。薬剤併用と関連する低血糖のリスクは、65~74歳の高齢者であるだけでなく初めてワーファリンを併用する人のあいだでより高かった。ワーファリンとグリピジド/グリメピリドの併用は、骨折が関係する転倒による入院又は救急受診(3,919/416,479 vs. 20,759/3,938,939;調節オッズ比は1.47、1.41~1.54)、そして意識/精神変性状態(2,490/416,479 vs. 14,414/3,938,939;調節オッズ比1.22、1.16~1.29)とも関連していた。未測定の要因が、ワーファリンの使用と重篤な低血糖症のどちらとも関係し得て、交絡要因になっている可能性がある。今回の調査結果は高齢者医療を超えて一般化できない。

この研究が加えたもの:ワーファリンとグリピジド/グリメピリドの併用と低血糖とその関連診断による入院/救急受診の間に相当ポジティブな関係が見られた、特にワーファリンが初めての患者で。調査結果はこれら医薬品の間に有意な薬物相互作が在る可能性を示唆している。

読後感想:ワーファリンとSU剤の組み合わせはどちらも使用頻度の高い薬なので、併用されている方は意外と多いのではないかと思います。低血糖発作は本当に怖い副作用なので併用されている方や新たにワーファリンが増量になった方は特に注意が必要だと思いました。(薬剤師 松岡 武徳)

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