日本ローカーボ食研究会

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65.血清尿酸値と様々な健康アウトカム

血清尿酸値と様々な健康アウトカム:観察研究、ランダム化比較試験、メンデル無作為群間比較試験のアンブレラ・レビュー
Serum uric acid levels and multiple health outcomes: umbrella review of evidence from observational studies, randomized controlled trials, and Mendelian randomisation studies Xue Li, et 1l. BMJ 2017;357:j2376 | doi: 10.1136/bmj.j2376

目的:血清尿酸値に関連する様々な健康アウトカムを調査する。

デザイン:アンブレラ・レビュー

データ源:Medline、Embase、Cochrane Database of Systematic Reviews、引用文献、参考文献。

選択基準:血清尿酸値と健康アウトカム(ある疾患の発症とそれによる死亡)との関連性を調査した観察研究のシステマティック・レビューとメタ解析、血清値尿酸値の降下療法に関連した健康アウトカムについて調査したランダム化比較試験のメタ解析、血清尿酸値と健康アウトカムとの因果関係を調査したメンデル無作為群間比較試験。

結果:観察研究に対する15のシステマティック・レビュー及び144のメタ解析を報告した57編の論文(76の特有のアウトカムを含む)、ランダム化比較試験に対する31のメタ解析を報告した8編の論文(20の特有のアウトカムを含む)、107のメンデル無作為群間比較試験を報告した36編の論文(56の特有のアウトカムを含む)が選択基準に適合した。これら3つの研究タイプすべてに渡って136の特有のアウトカムが報告された。観察研究のメタ解析における16の特有のアウトカムではp<10-6であり、ランダム化比較試験のメタ解析における8の特有のアウトカムではp<0.001、メンデル無作為群間比較試験における4の特有のアウトカムではp<0.01であった。また試験間における不均一性は共通して大きく、観察研究のメタ解析では80%であり、ランダム化比較試験のメタ解析では45%であった。42(全体の55%)の観察研究のメタ解析および7(全体の35%)のランダム化比較試験は少人数の効果または過度に有意なバイアスを含んだエビデンスを示した。観察研究のメタ解析からは血清尿酸値との関連性がclassⅠ(convincing)として分類されたものはなく、心不全のリスク増加、高血圧、空腹時血糖あるいは糖尿病の悪化、CKD、冠動脈疾患死といった5項目との関連がclassⅡ(highly suggestive)として分類された。ランダム化比較研究からのアウトカムで唯一、腎結石症の再発リスク減少がp<0.001であり、95%信頼区間や不均一性もバイアスも共に大きくなかった。そしてメンデル無作為群間比較試験ではアウトカムで唯一高い尿酸値と痛風のリスク増加との関連性のエビデンスがclassⅠ(convincing)であった。高血圧とCKDとの関連性は観察研究のメタ解析、そして全てではないがいくつかの中間アウトカムまたは代用アウトカムを含んだランダム化比較研究のメタ解析では一致したエビデンスを示したが、メンデル無作為群間比較試験ではエビデンスに統計学的な有意差はなかった。
結論:136の特有のアウトカム(疾患の発症とそれによる死亡)を調査した数百のシステマティック・レビュー、メタ解析、メンデル無作為群間比較試験があるにも関わらず、血清
尿酸値の明確な役割についての確証的なエビデンスは痛風と腎結石症にしか存在しない。

読後感想:血清尿酸値についてはこれまで痛風以外にも腎機能障害や主要有害心血管イベントとの関連が示唆されてきたが、その反面明確なエビデンスに乏しいこともあり、尿酸を低下させる薬剤の長期投薬については賛否分かれていた。しかし今回のアンブレラ・レビューで確証的なエビデンスが得られたのは痛風と腎結石のみであり、これをこれまでの議論に対する結論として良さそうだ。確かに、ザイロリックやフェブリックによって血清Crがわずかに下がる場合は少なくはないが、かといって透析までの期間を延長させた、尿毒症への進展を抑制する効果があるとは経験的に思えなかった。現在、痛風や腎結石の既往歴はないにもかかわらず血清尿酸値が基準値を超えているというだけで投薬を受けている患者は潜在的に多いと思われる。また、たった一回の痛風発作があった場合に次に起こるのはいつか誰にもわからない。5年後かもしれない。患者がそのようなしっかりとした説明を受けたなら長期内服に承諾するだろうか。すぐに投薬に走る医師が多すぎるのであるまいか。超高齢化社会に突入した日本では高齢者の多剤服薬が社会問題になっていることもあり、その対策としても尿酸薬処方の必要性を再検討する時期が来ている。(薬剤師 北澤雄一、医師 灰本 元)

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