日本ローカーボ食研究会

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23.複数の慢性疾患を持つ高齢者におけるガイドライン推奨薬と死亡の関係

複数の慢性疾患を持つ高齢者におけるガイドライン推奨薬と死亡の関係:人口ベースのコホート研究
Association between guideline recommended drugs and death in older adults with multiple chronic conditions: population based cohort study.Mary E Tinetti.et.al bmj.h4984

目的:複数の慢性疾患を持つ高齢者におけるガイドライン推奨薬と死亡との関連を評価する。

方法:人口ベースのコホート研究

設定:Medicare Current Beneficiary Surveyコホートで、65歳以上のアメリカ人の代表的なサンプル。

参加者:研究対象である慢性疾患(心房細動、冠動脈疾患、慢性腎臓病、うつ病、糖尿病、心不全、高脂血症、高血圧症、および血栓塞栓症)を二つ以上持つ8,578名の高齢者について、2011年まで追跡調査した。

内服薬:β遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、クロピドグレル、メトホルミン、レニン—アンギオテンシン系(RAS)遮断薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、スタチン、チアジド、ワルファリン

主要評価項目:症状がありガイドライン推奨薬を服用している参加者の補正死亡危険度で、最もありふれた組み合わせの4つの症状を持つが服薬はしていない参加者を比較対象とした。

結果:共存症に関係なく、各慢性疾患をもつ参加者は50%以上がガイドライン推奨薬を服用していた; 8578名中1287名(15%)の参加者が3年の追跡期間中に死亡した。心血管薬については、βブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、RASブロッカーとスタチンで死亡率の減少が見られた。例えば、βブロッカー服用による補正ハザード比は、心房細動のある人では0.59(95%CI:0.48-0.72)、心不全の人では0.68(95%CI:0.57-0.81)であった。心血管薬の補正ハザード比は一般的な組み合わせの4つの疾患が併存しても類似していた。ただ、βブロッカーについてはばらつく傾向がある。クロピドグレル、メトホルミン、SSRI/ SNRIは、いずれも死亡率の減少とは関連していなかった。ワルファリンは、心房細動(補正ハザード比0.69、95%CI:0.56-0.85)と血栓塞栓症(補正ハザード比0.44、95%CI:0.30-0.62)でそれらの死亡リスクの低下と関連していた。共存症の組み合わせにより、ワルファリンによる死亡リスクの低下の効果は下がった。

結論:薬剤の生存に対する平均な効果、特に心血管薬については、無作為化対照試験の報告と同等であったが、薬剤によっては共存症の影響を受ける。共存症を考慮して治療効果を特定することが複数の慢性疾患を持つ患者の処方を決める上でガイドとなろう。

〈読後感想〉
 ほとんどの高齢者は、複数の慢性疾患をもっており数多くの薬を併用している。特に日本ではその傾向が強いように思える。それぞれの疾患別のガイドラインではガイドライン推奨薬の総死亡への影響を示唆する記載のあるものもあるが、慢性疾患がいくつか組み合わさった場合における影響の論文をほとんど読んだことがない。このような現実の臨床に近い研究方法は,私たちの毎日の臨床にたいへん役立つ。この研究の方法は,RTCという純粋であるが短絡的であり実験的過ぎるゆえに複雑な現実にそぐわない方法と対峙するもので,高齢者割合が高く合併症も多彩になっている今、このような方法を用いてガイドラインを作り替える必要があるように思う。(薬剤師 加藤 仁)

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