日本ローカーボ食研究会

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56.2歳前の幼児への抗生剤の投薬による小児期の肥満リスクの増大

2歳前の幼児への抗生剤の投薬による小児期の肥満リスクの増大
Administration of Antibiotics to Children Before Age 2 Years Increases Risk for Childhood Obesity
Frank I. Scott el al Gastroenterology 2016;151:120–129

背景と目的:幼少期の肥満が増加しており、成人の肥満との関連認められている。抗生剤は数十年に渡って家畜の体重増加を促進させる目的で使用されてきた。抗生剤は小児に対して頻繁に処方されるが、人生の早期においてどの程度の抗生剤の暴露が肥満リスクに影響するかは不明である。今回、2歳前の抗生剤の暴露とその後4歳時点での肥満との関連を評価するために一般地域住民を対象としたコホート研究を行った。

方法:The Health Improvement Network(英国における1995年~2013年までの電子医療記録から引き出された1000万人以上が登録され地域住民を代表するデータファイル)に登録された21,714人の小児の後ろ向きコホート研究を行った。組み入れ基準に適合した研究対象者は生後3ヶ月以内に登録され、その後4歳の誕生日の12ヶ月以内に身長と体重が記録された。2歳前における抗生剤の暴露を評価し、嫌気性菌に対する作用別に分類した。主要評価項目は4歳時点での肥満とした。そして、母親や兄弟の肥満、母親の糖尿病の罹病、分娩方式、両親の社会経済的地位、誕生年や誕生国、都会暮らしなどの因子を調整してロジスティック回帰分析を行った。

結果:今回のコホート研究では1306人(6.4%)の小児が4歳の時点で肥満と確認された。抗生剤の暴露は4歳での肥満の増加と関連していた。(OR=1.21; 95%CI: 1.07-1.38)オッズ比は抗生剤の暴露を繰り返すにつれて増加した。(1-2回 OR=1.07; 95%CI: 0.91-1.23、3-5回 OR=1.41; 95%CI: 1.20-1.65、6回以上 OR=1.47; 95%CI: 1.19-1.82)抗真菌薬の暴露は肥満との関連はなかった。(OR=0.81; 95%CI: 0.59-1.11)

結論:2歳前の幼児への3回以上の抗生剤投与は早期の小児期における肥満リスクの増加と関連している。

読後感想:昨今、腸内フローラが人体に及ぼす影響が注目されており、多くの研究が行われ次第にそれらの全貌が明らかになりつつある。欧米ではがんや糖尿病、肥満に対して腸内フローラをその治療に活かす臨床研究も次々と始まっている。昨年、この抄読会でも成人で12年間に抗生剤をほとんど服用しなかった群に比べて26回以上服用した群で将来12年後の糖尿病発症が2倍になったという研究を紹介したばかりである。
現在、日本でも抗生剤の乱用が数々の耐性菌を生み社会問題となっている。小児科領域においても風邪という診断にも関わらず抗生剤が投与されるケースは少なくない。何となく患者側に風邪=抗生剤による治療が当たり前という風潮があって、時に仕方なく投与されるという状況が存在するような気もする。しかし、耐性菌の問題のみならず、今回の研究結果のように抗生剤が腸内フローラのバランスを崩し、それによる人体への影響を知ったら患者はどう思うだろうか。今後、抗生剤を処方する医師はこれらのエビデンスを理解し、患者教育を行っていく必要があるように思える。安易な抗生剤使用が今後社会問題に発展する可能性があることを我々は認識しなくてはならない。(薬剤師 北澤雄一)

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