6.ω-3脂肪酸摂取量と主要心血管障害イベントの関係
常識が覆る: ω3脂肪酸の摂取は脳心血管障害を予防しない!
ω-3脂肪酸摂取量と主要心血管障害イベントの関係 -メタ解析
Association Between Omega-3 Fatty Acid Supplementation and Risk of Major
Cardiovascular Disease Events. A Systematic Review and Meta-analysis.
Evangelos C. Rizos, Evangelia E. Ntzani, Eftychia Bika,, Michael S. Kostapanos, Moses S. Elisaf. JAMA (2012) 308:1024-1033
背景:ω-3多価不飽和脂肪酸(PUFAs)と主要心血管障害イベントの関係についてはかなりの論争が存在する。
目的:ω-3脂肪酸補給の主要心血管障害イベントにおける役割を評価すること
データの出典:2012年8月までのMEDLINE, EMBASE, the Cochrane Central Register of Controlled Trials。
研究の選択:無作為化臨床試験によりω-3脂肪酸が総死亡,心疾患死,突然死,心筋梗塞,脳梗塞に及ぼす効果を評価。
データ抽出:記述的,定量的な情報を抽出;絶対的,相対的リスクは変量効果モデルを用いて総合的に分析した。不均一性についてはQ 統計とI2により評価した。サブ解析は盲検,予防措置,植え込み型除細動器装着患者について行なった。メタ回帰解析はω-3脂肪酸の量について行なった。統計的有意差の閾値は多重比較により調整して0.0063とした。
総合的データ分析: 検索した3,635件の引用文献のうち,7,044人の死亡,3,993人の心疾患死,1,150人の突然死,1,837人の心筋梗塞発症,1,490人の脳梗塞発症を報告している68,680人の患者が参加した20件の研究をメタ解析に採用した。
全てのω-3脂肪酸補給研究を考慮したとき,総死亡(RR, 0.96, 95% CI, 0.91-1.02; リスク減 [RD], ?0.004, 95% CI, ?0.01 - 0.02),心疾患死(RR, 0.91, 95% CI, 0.85 - 0.98; RD,?0.01, 95% CI, ?0.02 - 0.00),突然死(RR, 0.87, 95% CI, 0.75 - 1.01; RD, ?0.003, 95% CI, ?0.012 - 0.006),心筋梗塞発症(RR, 0.89, 95% CI, 0.76 - 1.04; RD, ?0.002, 95% CI, ?0.007 - 0.002),脳梗塞発症(RR, 1.05, 95% CI, 0.93 - 1.18; RD, 0.001, 95% CI, ?0.002 - 0.004)との間に統計的に有意な関係は認められなかった。
結論:総合すると、相対及び絶対指標を基にした関係性評価では、ω-3多価不飽和脂肪酸の補給と総死亡,心疾患死,突然死,心筋梗塞,脳梗塞のリスク低下とは関係がなかった。