日本ローカーボ食研究会

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30.2型糖尿病の成人における心血管代謝リスクに及ぼす適度なアルコール摂取の影響

赤ワインはOK!!!
2型糖尿病の成人における心血管代謝リスクに及ぼす適度なアルコール摂取の影響:2年間のランダム化比較試験

Ann Intern Med (2015) 163:569-579. doi:10.7326/M14-165

背景:適度なアルコール摂取の推奨は特に2型糖尿病(T2DM)において論争中である。長期無作為化比較試験(RCT)が不足している。
目的:T2DM患者で適度なアルコール摂取の開始が心血管代謝に及ぼす影響、およびワインの種類が重要かどうを評価する。
方法:2年間のRCT(CASCADE [心血管,糖尿病とエタノール] トライアル)。 (Clinical Trials.gov:NCT00784433)
設定:イスラエル南部にあるベン-グリオン大学、ソロカ医療センターおよび原子力研究センターで行った。
患者:禁酒しているコントロールの良い2型糖尿病の成人
介入:患者は夕食にミネラルウォーター、白ワインまたは赤ワインのどれかを2年間、150ml摂取するよう無作為に割り当てられた。ワインとミネラルウォーターはあらかじめ用意したものを使用した。すべてのグループはカロリー制限のない地中海食を続けた。
測定:主要評価項目は脂質と血糖のコントロールとした。遺伝子解析を行い、そして患者の血圧、肝臓バイオマーカー、薬の使用歴、症状、および生活の質について追跡した。
結果:ランダムに割り当てられた224人の患者から、1年目は94%、2年目は84%の追跡データが得られた。水だけのグループ(地中海食のみ)の変化に加えて、赤ワイングループでは高比重リポタンパク・コレステロール(HDL—C)濃度は0.05mmol/l(2.0mg/dL)(95%CI、0.04~0.06mmol/L[1.6~2.2mg/dL];P =0.001)、そしてアポリポタンパク質(a)1の濃度は0.03g/L(CI:0.01~0.06g/L;,P = 0.05)、と著しく上昇し、総cholesterol対HDL—C比率は0.27(CI:-0.52~-0.01,P = 0.039)だけ低下した。
エタノール代謝の遅い群(アルコール脱水素酵素対立遺伝子[ADH1B*1]キャリヤー)だけは、エタノール代謝の早い群(ADH1B*2のためにホモ接合の人)と比較して血糖コントロール(空腹時血漿グルコース、インスリン抵抗性の恒常性モデル評価およびヘモグロビンA1c)に対する効果を、赤・白どちらのワインからも恩恵を受けた。3つのグループ間において、血圧、肥満症、肝機能、薬物治療、症状または生活の質の面で具体的な違いは確認できなかったが、睡眠の質は水グループ(P = 0.040)と比較して赤・白ワイングループにおいて向上した。全体として、水グループの変化と比較すると、赤ワインではさらに0.34(CI:-0.68~-0.001,P = 0.049)だけメタボリックシンドロームの構成要素の数を減らした。
制限:参加者は、治療の割り当て(無作為化)について知らされていなかった。
結論:この長期的なRCTは、十分にコントロールされた糖尿病患者において、健康食の一つとして適度なワイン、特に赤ワインの摂取を開始することは明らかに安全でわずかに心血管代謝リスクを減少させることを示唆している。遺伝的相互作用は、エタノールがグルコース代謝で重要な役割を果たしていること、赤ワインはさらに非アルコール性の効果を伴うことを示唆している。
主要な資金提供源:糖尿病の研究のための欧州財団

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