日本ローカーボ食研究会

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83.肥満パラドックス 脳血管障害患者における再発、総死亡とBMIの関係: コホート研究のメタアナリシス

Association of BMI with total mortality and recurrent stroke among stroke patients: A
meta-analysis of cohort studies. Huang K, Liu F, Han X, et al.
Atherosclerosis. 2016;253:94-101.

背景:
 肥満と総死亡、脳血管障害再発の関係に関する研究の相違する結果を示している。それで、わたしたちは脳血管障害を発症したあとの患者についてBMIと総死亡および再発の見解を調べるためにメタアナリシスを行った。

方法:
 わたしたちは2015年12月以前に発刊された適切なコホート研究を見つけ出すために引用文献と同様にPubMed、EMBASE、Cochrane Library Database、の電子的な検索を行なった。正常体重を1.0として肥満群、過剰体重群、低体重群相対リスクの評価と95%信頼区間はランダムイフェクトモデルを使って行なった。

結果:
 全部で15編、122,472人の脳心血管障害患者が該当し、メタアナリシスへ組み込まれた。正常体重群に比較して肥満群では有意に総死亡リスクは低下した(RR=0.83、95%CIは0.73~0.93、P = 0.002)。一方、低体重群では有意に総死亡リスクは上昇した(RR=1.54、95%CIは1.31~1.82、P < 0.001)。有意ではないが、BMI群と脳心血管障害の再発についても同様の関係が観察された。さらに、用量反応性メタアナリシスはBMIと総死亡には非線形のトレンドが、脳血管障害の再発には線形のトレンドがあることがわかった。

結論:
 わたしたちの研究は、脳血管障害が確立された患者群で肥満は総死亡と再発に対して肥満は予防的な効果があることを示唆している。

感想:
 2016年に欧米、東アジア、インドなど3000万人の住民コホート研究のプール解析によって、BMIの20以下のやせは死亡リスクが高く、BMIが25~30の小太り~中太りで総死亡リスクが最も小さいという肥満パラドックスが確立された。肥満パラドックスの研究が始まったのはメタボリック症候群とそれほど違わない1990年代末のことで、それ以後、10万人以上の大規模で10-20年の長期観察研究をコツコツとおびただしい数を積み上げていって、ついにメタボリック症候群が間違いでトンチンカンであったことを証明した。
 2018年現在では総論が出尽くして、個々の主要疾患でも、つまり各論でも肥満パラドックスが成立することが証明されつつある。そのなかでも最後まで残ったのが、脳血管障害である。この疾患では高血圧が基礎にあるので肥満が不利なはずだが、肥満パラドックスは総死亡だけでなく再発においても成立したことは、脂肪細胞が致死的なあらゆる慢性、急性疾患に予防的な機能を持っていることを示している。メタボリック症候群とは命には無関係な状況で脂肪細胞が悪い影響、それも糖尿病と心血管障害を発症しやすいことを証明したのだが、その後、それらの患者が肥満ゆえに亡くなったか、生き延びたかというもっとも根本的な健康の課題を追求しなかったのである。中途半端だったゆえにメタボリック症候群は今後10年間に医学史から消えていく運命にあり、それに代わるべく肥満パラドックスの時代がやってきた。

(医師 灰本 元)

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