日本ローカーボ食研究会

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63.高齢者における非細菌性急性上気道炎に対する抗生剤投与

高齢者における非細菌性急性上気道炎に対する抗生剤投与
Antibiotic Prescribing for Nonbacterial Acute Upper Respiratory Infections in Elderly Persons
Michael Silverman et al. Ann Intern Med. doi:10.7326/M16-1131

背景:急性上気道炎に対する不適切な抗生剤投与を減らすにはその抗生剤投与に携わる医師の特性について理解を深める必要がある。

目的:非細菌性急性上気道炎(以下AURIs)に対する抗生剤投与の風潮および医師の特性によって抗生剤の処方率に変化が見られるかを調査する。
試験デザイン:行政が管理する地域住民のデータベースを用いた後ろ向き解析
設定:2012年1月から12月の期間にカナダのオンタリオ州のかかりつけ医による非細菌性AUIsに対する診療。

対象患者:非細菌性AIRIsを罹患した66歳以上の患者。(がん患者、免疫抑制状態の患者、ケアホームに長期間入所中の患者は除外)

試験方法:AURIsを診断した医師による抗生剤の処方。医師の特性によって抗生剤の処方率が変化するかどうかを調査するために一般化推定方程式を伴った多変量ロジスティック回帰分析を用いて医師間における患者の集団化および患者水準の共変数の調整を行った。
結果:8890人のかかりつけ医と185014人の非細菌性AURIs患者がこのコホート研究に含まれた。また、非細菌性AURIs患者の53.4%が流行性感冒であり、31.3%が急性気管支炎、13.6%が急性副鼻腔炎、1.6%が急性喉頭炎であった。非細菌性AURIs患者の46%が抗生剤を処方され、その中で最も多い処方は広域スペクトルの抗生剤(69.9% [95%CI: 69.6%-70.2%])であった。抗生剤の処方は、若手医師と比較して中堅医師、ベテラン医師でより多い傾向にあり、その比率差は中堅医師で5.1 percentage points[95%CI: 3.9-6.4 percentage points]、ベテラン医師で4.6 percentage points[95%CI: 3.3-5.8 percentage points]であった。また、カナダや米国以外で医学教育を受けた医師では3.6 percentage points[95%CI: 2.5-4.6 percentage points]であった。更に、一日当たりの患者数が多い医師で抗生剤の処方がより多い傾向にあり、25人/日未満の医師と比較して25人~45人/日未満の医師で3.1 percentage points[95%CI: 2.1-4.0 percentage points]、45人/日以上の医師で4.1 percentage points[95%CI: 2.7-5.5 percentage points]であった。

限界:医師が抗生剤の処方を決定するまでの過程やその処方動機が捉えられていない
結論:死亡リスクの低い高齢者を対象としたこのコホート研究では、非細菌性AURIs患者の46%に抗生剤が処方された。より抗生剤の処方が多い傾向にあったのは比較的職歴が長く、診察する患者数の多い医師であり、またカナダや米国以外で医学教育を受けた医師であった。

読後感想:今回の文献を読んでまず思ったのが、抗生剤の不適切な使用が日本のみならず諸外国でも問題視されているということである。日本では最近厚生労働省から抗菌薬の適正使用を支援して薬剤耐性菌を抑制することを目的としてまとめられた手引きが各都道府県に通知されたところである。つまり風邪に対しては抗生剤を処方しないことを推奨することを公表したわけである。現代では抗菌薬治療に関する多くのエビデンスが確立しているためその後の医学教育に変化をもたらし、文献にもあるように若手医師では抗生剤の処方が少ないという結果になったのであろう。カナダと米国で教育を受けた医師で抗生剤の処方が少ないのは、そのような医学教育が徹底されているからだと思う。(薬剤師 北澤雄一)

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