日本ローカーボ食研究会

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79.2型糖尿病の退役軍人における抗高血糖薬物治療が関連する低血糖症の血管障害発症リスクに及ぼす影響

Impact of Hypoglycemia Associated With Antihyperglycemic Medications on Vascular Risks in Veterans With Type 2 Diabetes
Zhao, Y et al.
Diab. Care (2012 )35:1126-1132

目的:低血糖は心血管系に良い影響を与えず、血糖コントロール強化の臨床試験で死亡率を上昇させた。この後ろ向きコホート研究では診療で低血糖の血管障害に対する影響を調査することを目的とした。

研究デザインと方法:2型糖尿病の患者は、退役軍人統合サービスネットワーク16の2004年1月から2010年9月までの間のデータでICD-9-CMコード (250.x1と250.x3 を除く250.xx) により特定される者とした。
指標日付は新規抗高血糖薬物治療の初日として定義した。指標年月日前の1年間に低血糖、心血管障害、微小血管病の記録がある患者は除いた。低血糖症のグループは指標治療期間内のICD9CMコード(250.8, 251.0, 251.1, and 251.2)により特定した。傾向スコア(propensity score)をマッチさせたグループを対象患者とした。心血管症、微小血管合併症、総死亡はKaplan--Meier法とCox比例ハザード回帰モデルにより比較した。

結果:傾向スコアをマッチさせなかったサンプル(N=44,26人)の低血糖発生比率は3.57%/年だった。マッチさせたグループ(低血糖群n=761、対照群n=761)では平均フォローアップ期間3.93年、平均年齢62.6±11.0歳、指標前のHbA1Cは10.69±2.61%だった。HbA1Cの1年間の変化も似ていた(低血糖群 —0.0.51%に対し対照群 —0.0.32%, P=0.7244)。低血糖グループでは心血管障害(ハザード比2.00 [95%信頼区間1.63-2.44])と微小血管合併疾患(1.76 [1.46-2.11])のリスクに優位な上昇があったが、統計学的死亡率には差が無かった。少なくとも2回の低血糖発作があった患者は発作一回の患者よりも心血管障害のリスクがより高かった(1.53 [1.10-1.66])。

結論:低血糖は血管障害発症リスクの上昇と関連していた。低血糖の患者は血管障害の有無を丁寧に検査すべきだ。

読後感想:近年、多くの低血糖に関する文献データのメタ解析により低血糖の危険性が注目されています。今回の論文はそのメタ解析の1つです。この論文は2012年に発表されているので、海外では4年も前から低血糖が1度でも発症すると予後が大変悪いと報告されていたことになります。一方、日本ではご存知のように、最近になってようやく高齢者に対するHbA1Cの管理を見直すことが糖尿病治療のガイドラインで求められるようになりました。
この論文の内容ですが、驚くべきことにHbA1C値の低下に低血糖群と対照群とでほとんど差がありません(低血糖群 —0.51%, 対照群 —0.32% P=0.7244)。つまり低血糖群ではHbA1Cをわずか —0.19%下げるために低血糖発作が発生し、心血管障害の発症リスクが2倍になるのです。さらに、2回の発作を起こした患者では1回の患者に比べリスクがさらに1.5倍も上昇するのです。だとしたら、これはとても不幸なことのように感じます。
 これで —0.19% HbA1Cを低下させることにメリットがあと言えるのでしょうか? 網膜症や腎症などを起こす微小血管障害の予防には寄与するかもしれません。しかし、大血管障害のリスク上昇のほうがはるかに大きいとなると過度な血糖コントロールは逆効果を生むことになると言えるでしょう。もう4年も前から患者の病態に応じた血糖管理が求められていたことに正直驚きました。

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