日本ローカーボ食研究会

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44.血管リスクが上昇した患者における冠動脈疾患危険因子としての糖尿病の低血糖

血管リスクが上昇した患者における冠動脈疾患危険因子としての糖尿病の低血糖
Hypoglycemia in Diabetes Mellitus as a Coronar Artery Disease Risk Factor in Patients at Elevated Vascular Risk
Aaron Leong et al. J Clin Endocrinol Metab, February 2016, 101(2):659–668

背景:臨床試験では低血糖が冠動脈疾患に関連があるということを示しているが、プライマリーケアにおいては低血糖が冠動脈疾患のリスクファクターであるということはほとんど知られていない。

目的:私たちは、以前の低血糖が以前の冠動脈疾患発症に関連があったかどうかと、背景にある異なる血管リスクを持つ患者においてこの関連性が違っていたどうかを明らかにするために研究した。

デザイン、設定、患者:これは2006年1月1日以前に冠動脈疾患の無い糖尿病患者(9173人)のコホート研究でで、13のプライマリーケア診療所のアカデミックネットワークによって2006年1月から2012年6月30日まで経過観察された。2006年1月1日以前の低血糖のイベントは入院患者と外来患者の救急部からInternational Classification of Diseases Ninth Revision codes通じて特定された。
 
主要結果 処置:患者は偶発的な冠動脈疾患を2012年6月30日までフォローされた。相互作用時にでのCox比例ハザードモデルは以前から低血糖と冠動脈疾患の間の関連性を特定していた(優位性 p<o.5)。私たちはその時、高い血管リスクの患者(55歳以上)、HbA1c7.5%以上、2つ以上のリスクファクター(脂質異常症、高血圧、肥満)と、高い血管リスクの65歳以上の患者群と残りの低い血管リスク患者群の間で関連性をテストした。

結果:患者の3%(n=285人)が以前に低血糖発作があった。低血糖は時間と冠動脈危険因子の相互作用を調整すると2倍の冠動脈疾患リスクと関連していた(ハザード比2.15 95%信頼区間 1.24-3.74)。65歳以上の集合で、高い血管リスクを持つ患者のでは、そのリスクが3倍(ハザード比3.01 信頼区間1.15-7.91, n=1823,コホートの20%)、そして65才以上の年齢群では4倍以上であった(ハザード比4.62 信頼区間1.65-12.9 n=996)。残り80%の低い血管リスクの患者群では関連性がなかった。

結論:以前の低血糖は高い血管リスクの患者において冠動脈疾患と関連があった。低血糖は背景となる血管性リスクが低いプライマリーケアの患者の大部分では冠動脈疾患のリスクファクターではないかもしれない。

読後感想:低血糖は起こしてはいけない有害事象です。他の論文で何度も紹介されているように、たった1回の低血糖が冠動脈疾患のリスクを2倍にします。
今回の論文はそのことに加えて、血管リスクが高い患者(高血圧、脂質異常症、肥満を2つ以上合併)と高齢者(65歳以上)の低血糖による冠動脈疾患について紹介しています。
驚くべきことに血管リスクが高い患者(高血圧、脂質異常症、肥満を2つ以上合併)では低血糖によって冠動脈疾患リスクが3倍に上昇し、高齢者では4倍に上昇することがわかりました。一方で血管リスクが低い患者では低血糖と冠動脈疾患との関連性はありませんでした。
 したがって、高血圧と脂質異常症を合併した血管リスクが高い糖尿病患者では低血糖を起こしやすいSU剤、グリニド、インスリンなどを使って無理に血糖を下げるのではなく、血圧と脂質をより下げることが優先されるべきです。
さらに高齢者ではその他の合併症の有無に関わらず、厳格な血糖コントロールは危険です。また、高齢者による低血糖は 認知症リスクを2倍に上昇させることがすでに明らかになっています。
 この度、糖尿病治療ガイドラインは高齢者に対する血糖管理目標値を改訂しましたが、高血圧と脂質異常症を合併している糖尿患者でも低血糖を起こさない血糖管理目標値を考えるべきです。(薬剤師 木原丈晴) 

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