日本ローカーボ食研究会

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13.食事によるカルシウム摂取と心血管系疾患およびすべての原因による死亡危険度の関係

常識が覆る その3: カルシウム摂取は心筋梗塞を増やす
食事によるカルシウム摂取と心血管系疾患およびすべての原因による死亡危険度の関係:前向きコホート研究のメタ解析
Dietary calcium intake and mortality risk from cardiovascular disease and all causes: a meta-analysis of prospective cohort studies Xia Wang, Hongxia Chen, Yingying Ouyang, Jun Liu, Gang Zhao, Wei Bao2 and Maosheng Yan BMC Medicine 2014, 12:158

背景:食事によるカルシウム摂取と心血管系疾患およびすべての原因による死亡危険度の関係に関しては、かなり多くの論争がある。このため、この論争を吟味する目的で前向きコホート研究のメタ解析を行った。

方法: 2013.9.1から2013.12.30までの期間のMEDLINE、Embase、コクランライブラリーデータベースを検索して該当する研究を探し出した。当該論文の引用一覧も再検証した。観察的前向き研究で、食事によるカルシウム摂取と心血管系及びすべての原因による死亡率の関係を相対リスクとその95%信頼区間を示している研究が今回の解析に適格であった。研究固有の相対リスクは無作為効果モデルを使って管理した。

結果:このメタ解析では、参加者数757,304を数え12の独立した集団からなる11件の前向き研究は対象として適格であった。食事によるカルシウム摂取と心血管系疾病および全原因による死亡リスクとが非線形の関係にあるとの証拠があった。心血管系疾病および全原因による死亡リスクの非線形性についてはいずれもP<0.01であった。カルシウムの容量反応解析により、カルシウム摂取量と心血管死亡率との間にU曲線の関係が示された。カルシウム摂取はおよそ800mg/日より低下しても高くなっても徐々に心血管死の危険度が上がるという関係にある。総死亡に関しては、摂取量900mg/日辺りで閾値効果を観測した。総死亡のリスクは900mg/日を超えるとそれ以上は減少しなかった。

結論:この前向きコホート研究のメタ解析は、食事によるカルシウム摂取が心血管死とU曲線関係を示すこと、また、多量のカルシウム摂取( >900mg/日)は総死亡のリスク減少とは関係してないことを示唆している

読後感想
 カルシウムの摂取量は、心血管系疾患と総死亡リスクに関係している。その適正量に関しては、心血管系疾患については800mg/日付近、総死亡リスクに関しては900mg/日以下が最良摂取量と言える。両方の良いとこどりをしようと思うとカルシウム摂取量は800-900mg/日である。摂りすぎも良くないが、こと日本人に関しては、平均摂取量はH19年の国民健康・栄養調査では531mg/日と最良摂取量とは言えない量で、明らかに摂取不足である。日常業務として食事指導するときは、摂取量を適正量に引き上げることと同時にサプリメントなどによる摂りすぎへの警鐘も鳴らしていきたいと思います。(薬剤師 渡邉真弓)

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