日本ローカーボ食研究会

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69.BMIとアルツハイマー病の発症リスク

BMIとアルツハイマー病の発症リスク:399,536名を対象としたメンデル無作為化試験
Body Mass Index and Risk of Alzheimer’s Disease: A Mendelian Randomization Study of 399536 Individuals
Liv Tybjærg Nordestgaard et al. J Clin Endocrinol Metab, July 2017, 102(7):2310–2320 doi: 10.1210/jc.2017-00195

背景:近年、UK Clinical Practice Research Datalink(CPRD)の200万人のデータによって低BMIと認知症の発症リスクの増加との関連が確立された。しかし、この観測的な関連性が因果関係を反映しているかどうかについては解明されていない。

目的:低BMIとアルツハイマー病のリスク増加とに因果関係が存在するという仮説を検証する。
試験デザイン、設定、参加者
Copenhagen General Population Study(CGPS)の95578名(追跡期間36年)、Genetic Investigation of Anthropometric Traits(GIANT)とInternational Genomics of Alzheimer’s Project(IGAP)の303,958名に関する共同データについてメンデル無作為化解析を用いて調査した。

主要評価項目:アルツハイマー病の発症リスク

結果:CGPSにおいてBMI減少に関わる対立遺伝子を多く含んだweighted allele score群では遺伝的に決められたBMIが1-kg/m2減るごとのオッズ比は0.98 [95%CI: 0.77-1.23]であった。GIANTとIGAPの共同データの中からBMI減少に関わる32の遺伝的変異体に由来するデータを用いて解析すると、BMIが標準偏差で1減るごとのオッズ比は1.02 [95%CI: 1.05-1.09]であった。また、様々な因子で調整したそれぞれに対応する観測的オッズ比はCGPSで1.07 [95%CI: 1.05-1.09]、GIANTとIGAPで1.32 [95%CI: 1.20-1.46]であった。

結論:一般集団において遺伝的な低BMIや生涯にわたる低BMIはアルツハイマー病の発症リスク増加とは関連しない。これらのデータは低BMIがアルツハイマー病との因果関係を示すリスク因子ではないこと、また相当する観測的な関連はおそらく逆の因果関係あるいは交絡によって説明されるということを示唆している。

読後感想:メンデル無作為化解析は従来の疫学研究の解析方法に遺伝子情報を組み入れた新しい研究デザインであり、遺伝的変異体を用いることにより逆の因果関係や交絡因子によるバイアスを無効化することを目的する解析方法である。つまり、認知症の発症により低BMIが引き起こされたという逆の因果関係に対して、受胎時に決定される遺伝的変異体は生涯にわたって変化することはないため、それが低BMIに関わる遺伝的変異体であった場合、認知症によって変化することはないので、その逆の因果関係は成り立たないということである。したがって、この研究結果はこれまでの疫学研究が示してきた見解、つまり低BMIは認知症の発症と関係がある、に対して反論する結果となった。
2015年のLancetに200万人の解析を基に中年期と老年期の低BMIが認知症の発症の増加と関連するという結論の論文は肥満こそが認知症の危険因子という従来の概念を覆したので、たいそう驚いた記憶がある。医科学は多方面からの研究の積み重ねによって時間をかけて次第に真実をまとうベールが脱がされていく。今後、認知症と体重の関係の真実が明らかにされていくに違いないので、この分野の研究と議論から目を離せない。(薬剤師 北澤雄一)

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