日本ローカーボ食研究会

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53.成人2型糖尿病患者におけるBMIと死亡

成人2型糖尿病患者におけるBMIと死亡
Body-Mass Index and Mortality among Adults with Incident Type2 Diabetes
Deirdre K. Tobias et al. N Engl J Med. 2014 January 16; 370(3): 233–244. doi:10.1056/NEJMoa1304501.

背景:過体重や肥満の人の死亡が正常体重の人に比べて減少したことを示唆している研究もあるが、2型糖尿病患者における体重と死亡との関連は未解明のままである。

方法:Nurses’ Health Study(8970人)とHealth Professionals Follow-up Study(2457人)の2つの研究からの糖尿病患者を研究した。糖尿病診断時に研究参加者に心血管疾患と癌はなかった。BMIを算出するために糖尿病の診断直前の体重と身長を使用した。BMIのカテゴリーごとの死亡ハザード比と95%信頼区間を評価するためにMultivariable Cox modelsを使用した。

結果:平均15.8年間の追跡期間に3083件の死亡が確認された。BMIの18.5-22.4、22.5-24.9、25.0-27.4、27.5-29.9、30.0-34.9、≧35.0に対して全ての原因による死亡のハザード比はそれぞれ1.29[1.05-1.59]、1.00、1.12[0.98-1.29]、1.09[0.94-1.26]、1.24[1.08-1.42]、1.33[1.14-1.55]であり、J型カーブの関連がBMIのカテゴリーを通して観察された。この関連性は喫煙歴のない参加者では線形(BMIのカテゴリー別のハザード比は1.12、1.00、1.16、1.21、1.36、1.56)であったが、喫煙歴のある参加者では非線形(BMIのカテゴリー別のハザード比は1.32、1.00、1.09、1.04、1.14、1.21)であった。また65歳未満で糖尿病と診断された参加者ではBMIのカテゴリーごとの死亡ハザード比は線形の傾向が見られたが、65歳以上で糖尿病と診断された参加者ではその傾向は見られなかった。

結論:全参加者と喫煙歴のある参加者においてはBMIと死亡にJ型カーブの関連が見られ、喫煙歴のない参加者においては線形の関連が見られた。正常体重の参加者と比較して糖尿病の診断時に過体重もしくは肥満であった参加者では死亡リスクが低いという証拠、つまり肥満パラドックスは見いだせなかった。

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読後感想:この論文では糖尿病患者では肥満の方がむしろ長生きという説(肥満パラドックス)に疑問を呈する結論となった。実際、糖尿病患者をBMIで区切ってそれぞれの死亡リスクを観察すると、死亡のハザード比はJ型カーブの傾向となっており、やせ型も肥満型も死亡率が高いという結果であった。またその傾向は高齢者や禁煙した糖尿病患者になるとJ型カーブは小さくなり、肥満型の方がやせ型よりも死亡リスクの上昇が大きかった。欧米ではBMI30以上が人口の1/3を占めているので、減量は糖尿病患者の生命予後に必要なことと言える。しかし、日本人ではBMI30以上の糖尿病患者は少ないのが現状(一般人口ではBMI30以上はせいぜい5%未満)で、日本ではBMIが25未満の欧米から見ると正常体重と言える糖尿病患者やBMI<22のやせ型の糖尿病患者が中心となっている。したがって下のグラフを見るときに、日本人ではBMI30以上を無視できる。久山町研究によると高血圧とLDLコレステロールがコントロールされた現在では、日本人の糖尿病患者の死因の第一位は癌であり、脳心血管障害ではない。癌を生き延びるときにやせ型よりも肥満型の方が有利なのは自明であり、このような事実をふまえると、BMI<22の糖尿病患者では減量してまでHbA1cを下げる意味があるかどうか考え直す必要がある。(医師 灰本 元)

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