日本ローカーボ食研究会

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80.死亡前20年間の血圧の軌道

Blood Pressure Trajectories in the 20 Years Before Death
João Delgado et al. JAMA Intern Med. 2018;178(1):93-99. doi:10.1001/jamainternmed.2017.7023

【要点】
血圧は晩年に安定する、あるいは低下するといった混在したエビデンスがある。血圧の軌道が加齢、死亡が近い時期、あるいは高血圧のない生存期間を反映するかどうかは不明である。

【目的】
死亡前20年間のそれぞれの年における患者個々の血圧を評価し、血圧の軌道の説明を可能とするメカニズムを明らかにする。

【研究デザイン・調査・参加者】
一般化線形混合効果モデルを用いた後ろ向きコホートの研究デザインで、英国の地域住民を対象としたClinical Practice Research Datalinkおよび関連する入院電子カルテのデータを分析した。参加者は20年以上の血圧の記録が残存する全ての患者が対象で、2010年から2014年の期間に60歳以上で死亡し、組み入れ基準を満たした46634人とした。また、死亡した20207人と誕生した年と性別でマッチさせ、ペアとなる症例より9年以上生存した20207人との死亡前10年~3年の血圧の高低差を比較した。

【主要評価項目・方法】
臨床的に患者が個々に繰り返し記録した収縮期血圧(SBP)と拡張期血圧(DBP)

【結果】
46634人の参加者(51.7%が女性;死亡時の平均年齢[標準偏差]:82.4歳[9.0])において、収縮期血圧および拡張期血圧は死亡前18年から14年でピーク値に達し、その後徐々に低下した。ピーク値からの収縮期血圧の変化は60~69歳での死亡群では-8.5mmHg(95%CI: -9.4 to -7.7mmHg)、90歳以上での死亡群では-22.0mmHg(95%CI: -22.6 to -21.4mmHg)であった。全体として患者の64%に収縮期血圧の-10mmHg以上の変化があった。血圧の低下は死亡前10年から3年にかけて線形を呈し、最後の2年間は急激な低下を示した。
死亡前10年から3年の収縮期血圧の低下は、降圧薬で治療しない患者で示されたが、平均の年間収縮期血圧の変化は高血圧([有]-1.58; 95%CI: -1.56 to -1.60mmHg vs [無]-0.70; 95%CI: -0.65 to -0.76mmHg)、認知症([有]-1.81; 95%CI: -1.77 to -1.87mmHg vs [無]-1.41; 95%CI: -1.38 to -1.43mmHg)、心不全([有]-1.66; 95%CI: -1.62 to -1.69mmg vs [無]-1.37; 95%CI: -1.34 to -1.39mmHg)、晩年の体重減少の患者において最も急激であった。

【結論・関連性】
60歳以上で死亡した患者では平均収縮期血圧および平均拡張期血圧が死亡前10年以上の期間で低下した。これらの血圧低下は、単に年齢、高血圧治療、あるいは高血圧のない生存期間に起因するとは考えられない。晩年の血圧低下はリスクの評価、治療のモニタリング、試験デザインに対して影響を与える可能性がある。

【感想】
加齢に伴い血圧が低下していくという概念が無かったので、「血圧の低下は死亡前10年から3年にかけて線形を呈し、最後の2年間は急激に低下していた。」という結果を見てとても驚いた。
晩年に向かって血圧が急激に低下していた患者の特徴に、高血圧、痴呆、心不全、晩年の体重減少といった結果も出ており、血圧低下についての論文を探して今回の内容と関連している点などを考えることで今後のリスク評価につながる何かが見えてくるのではないかと感じた。(梶梅 晴生)

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