日本ローカーボ食研究会

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43.アルコール消費量と2型糖尿病の発症リスクの間の関係

アルコール消費量と2型糖尿病の発症リスクの間の関係:システマティックレビューと用量反応メタ分析
Association between alcohol consumption and the risk of incident type 2 diabetes: a systematic review and dose-response meta-analysis.
Am J Clin Nutr. 2016 Mar;103(3):818-29.Li XH

背景:これまでのコホート研究で適度なアルコール摂取は2型糖尿病の発症リスク低下と関連が示されてきた。しかしながらそれらの関連性が2型糖尿病患者の特性に応じて異なるかは議論の余地があります。

目的:この研究の目的は用量反応メタアナリシスを用いてアルコール摂取量と将来的な2型糖尿病の発症リスクとの関連の強さのエビデンスを調べて要約することだった。

デザイン:我々は2015年3月24日までのPubMed、Embase、コクランライブラリーのデータベースを検索することにより潜在的な研究を識別した。前向き観察研究でアルコール摂取量と2型糖尿病の発症リスクとの関係性を評価し、95%信頼区間を用いてその関連の推定値を報告したものが含まれた。

結果:31621件の2型糖尿病の発症を伴う26の研究に含まれる706716名(男性275711名、女性431005名)を対象にしてメタ解析を行った。我々はアルコール消費量と2型糖尿病のリスクの間に非線形の関係を確認し、またその関係性は全てのコホート研究で確認された(P-trend<0.001、P-非線形性<0.001)、男性で(P-trend<0.001、P-非線形性<0.001)、そして女性で(P-trend<0.001、P-非線形性<0.001)。アルコール摂取がほとんどない群と比較したところ、少量(0-12g)(相対危険度:0.83;95%信頼区間:0.73、0.95;P=0.005)、適量(12-24g)(相対危険度:0.74;95%信頼区間:0.67、0.82;P<0.001)でのアルコール摂取は2型糖尿病の発症リスク低下に関係があった。しかしながら多量(24g以上)のアルコール消費量は将来の2型糖尿病の発症リスクについて影響がほとんどないか全くなかった。そのうえ、相対危険度比で有意差が出たものは、男性より女性で2型糖尿病における中等度のアルコール摂取がほとんど飲まない群との比較で有意な差が出た、そして禁煙者より喫煙者で少量のアルコール摂取は有意差があった。

結論:少量、適量のアルコール摂取は2型糖尿病の発症リスクを低下させる関係にあった、ところが多量のアルコール摂取は2型糖尿病の発症リスクとは関係しなかった。


アルコール摂取量(横軸)と相対危険度(縦軸)の関係

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読後感想:今回の研究よりアルコールを飲めない人は仕方ないが、飲めるのであれば適度な飲酒は2型糖尿病の発症を抑えられる事が分かった。より限定すると、女性で喫煙をして中等度のアルコール摂取のある人が今回の研究では有意に相対危険度が下がる事が確認された。具体的に適度なアルコール摂取量となるのは上記の図のアルコール量約20gでビール中瓶1本:500ml、清酒1合:180ml、ウイスキー・ブランデー(ダブル):60ml、ワイン:1杯半、焼酎:0.5合ぐらいが目安になるので、今回の研究を参考にお酒の飲める方は適度な晩酌を楽しんでください。(薬剤師 松岡 武徳)    

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