日本ローカーボ食研究会

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88.非致死的と致死的な冠動脈疾患および脳卒中と関連したアルコール摂取量:EPIC-CVD 症例コホート研究

Alcohol intake in relation to non-fatal and fatal coronary heart disease and stroke: EPIC-CVD case-cohort study
Cristian Ricci et al., BMJ 2018;361:k934

【目的】
アルコール消費量(登録時と人生全体)と非致死的,致死的な冠動脈疾患と脳卒中の関係を調べるため

【デザイン】
 他施設の症例コホート研究

【設定】
 ヨーロッパの8カ国からなるEuropean Prospective Investigation into
Cancer and nutrition cohort (EPIC-CVD)

【参加者】
 32549人の登録時に冠動脈疾患や脳卒中がない参加者
中心となるアウトカム:非致死的,致死的冠動脈疾患と脳卒中

【結果】
 9307人の非致死的冠動脈イベント,1699人の冠動脈疾患死,5855人の非致死的脳卒中,733人の脳卒中死があった。登録時のアルコール摂取量は非致死的冠動脈疾患と逆相関があり,ハザード比は1日12g多く摂取する毎に0.94(CI:0.92~0.96)であった。冠動脈疾患死と登録時のアルコール摂取量はJカーブの関係があった。摂取量の0.1g-4.9g/日に比べて5-14.9g,15.0-29.9g,30.0-59.9gのハザード比は0.83,0.65,0.82であった。対照的に,非致死的,致死的な脳卒中のハザード比は登録時のアルコール量が12g/日増える毎に1.04と1.05であった。そして,脳梗塞や脳出血でもおおまかに似た結果であった。心血管障害アウトカムと人生の平均的アルコール摂取量の関係もほぼ同じ結果であった。アルコール摂取量と喫煙の相互作用についての強い証拠が見られなかった。
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【結論】
 アルコール摂取量は非致死的冠動脈リスクと逆相関するが,脳卒中のサブタイプとは正の相関があった。この結果はアルコール摂取量と心血管障害の異なったサブタイプとは対立的な関係を強調し,アルコール摂取量を減らす方針のための証拠を強めている。


【感想】
 アルコールと総死亡,心血管障害や癌の発症はよく研究されており,適度に飲む人が一番健康で長生きということはよく知られている。この適度がくせ者で,かなり量が多いこともわかってきた。この研究の目新しい点は,冠動脈疾患でも非致死的は逆相関するが,致死的はJカーブ,脳血管障害は正の相関があることを示し,心血管障害の分類別にそれぞれ異なることを示したことである。さらに,上記の要略には登場しないが,表のようにワインは非致死的冠動脈イベントを減らすが,ビールは非致死的脳血管障害を増やすことと明らかにした。今までの研究ではアルコール種類別に解析した研究は見たことがない。今後は日本でもビール,日本酒,焼酎など種類別のハザード比が明らかになって行くと思う。

(医師 灰本 元)

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