日本ローカーボ食研究会

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90.2型糖尿病患者における,大血管疾患,慢性腎臓病,慢性呼吸器疾患,癌および喫煙と生存:バイオバンク日本コホート

Survival of macrovascular disease, chronic kidney disease, chronic respiratory disease, cancer and smoking in patients with type 2 diabetes: BioBank Japan cohort
Journal of Epidemiology 2017, doi.org/10.1016/j.je.2016.12.012

要約

【背景】
 糖尿病患者の数は世界中で増加している。大血管疾患、慢性腎臓病、慢性呼吸器疾患、癌および喫煙はしばしば2型糖尿病に伴う。これらの深刻な合併症に関連する糖尿病のアジア人の死亡率に関連するデータはほとんどない。本研究は合併症を有する2型糖尿病患者の過剰死亡リスクを定量化することを目的とした。

【方法】
 2003年から2007年の間にバイオバンク日本計画から2型糖尿病患者30,834人の利用可能な記録を分析した。男性と女性の中央値はそれぞれ8.03年と8.30年であった。我々は大血管疾患、慢性呼吸器疾患、慢性腎臓病、癌および喫煙の有無にかかわらず、糖尿病患者の死亡率を評価するために生存曲線についてCox比例ハザードモデルおよびKaplaneMeier推定値を適用した。

【結果】
 死亡率の調整されたハザード比(HR)は、男性で1.39(95%CI、1.09~1.78)、10歳増すと2.01(95%CI、1.78~2.26)だった。主な関心項目の調整されたHRは大血管疾患で1.77(95%CI、1.42~2.22)、慢性呼吸器疾患で1.58(95%CI、1.08~2.31)、慢性腎臓病で2.03(95%CI、1.67~2.47)、癌で1.16(95%CI、0.86~1.56)、現在の喫煙で1.74(95%CI、1.30~2.31)だった。

【結論】
 過去または現在の慢性腎臓病、大血管または呼吸器疾患または喫煙習慣を有する糖尿病患者は死亡のリスクが最も高い。データは併存疾患の生存者のデータに限られていたが、糖尿病患者の予後を改善するためには併存疾患を改善させ、喫煙を終了する必要があると提案する。

【感想】
 日本人の2型糖尿病患者の死因を解析した論文である。癌合併の糖尿病でハザード比が1.16と低くいことは意外であった。血管疾患や慢性腎臓病合併で死亡が高いのはデータが10年以上前とやや古いせいかもしれない。いずれにせよ2型糖尿病患者の死亡率を低下させるためには、禁煙と併存疾患の管理が非常に重要であると言える。

(文責:灰本耕基)

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