29.長期間のカルシウム摂取と全ての原因と心血管の死亡率
食事やサプリメントからのカルシウムの摂りすぎが総死亡を増やす!!
長期間のカルシウム摂取と全ての原因と心血管の死亡率:地域ベースの前向きコホート研究 Long term calcium intake and rates of all cause and cardiovascular mortality: community based prospective longitudinal cohort study Karl Michaëlsson et al. BMJ 2013;346:f228 doi: 10.1136/bmj.f228 (Published 12 February 2013)
目的:長期間の食事とサプリメントからのカルシウム摂取と全ての原因と心血管疾患による死亡の間の関係を調べる。
デザイン:前向き縦断コホート研究。
設定:スウェーデンのマンモグラフィーコホート、1987~1990年に設定された一般住民のコホート。
参加者:平均19年間追跡した61433人の女性(1914-1948年の生まれ)。
主要結果評価:記帳データから識別された主要結果評価は,全ての原因(n=11944人)と心血管疾患(n=3862人),虚血性心疾患(n=1932)そして脳卒中(n=1100)による死亡であった。食事は38948人の女性で登録時と1997年の食品頻度調査より評価し,そしてカルシウムの摂取量を推定した。合計のカルシウム摂取量は食事からとサプリメントからのカルシウム摂取量の合計とした。
結果:食事のカルシウム摂取による死亡危険度のパターンは非線形でより高い危険度が最も高い摂取量(1400mg/日以上)の周りに集中していた。600mg/日から1000mg/日の間の摂取と比べ、1400mg/日以上の摂取量で高い死亡危険度と関係があった。ての死因(HR 1.40、95%CI 1.17-1.67)、心血管疾患死(1.49、1.09-2.02)、虚血性心疾患死(2.14 1.48-3.09)。しかし脳卒中死では関係がなかった(0.73、0.33-1.65)。限界構造モデルを含む感度分析を実施すると,食事からの低いカルシウム摂取(600mg/日未満)の、低いあるいは高い総カルシウム摂取量によるより高い死亡危険度はもはや明らかとはなくなった。カルシウムの錠剤(6%の使用者:1錠あたり500mgのカルシウム)を使うと全ての死亡または特定の病因による死亡と関連しなかったが、食事からと錠剤からの合計が1400mg/日以上のになると,すべての現任による死亡危険度は2.57倍(95%CI 1.19-5.55) となった。
結論:女性では高いカルシウム摂取量は全ての死亡と心血管疾患による死亡と関係したが,脳卒中による死亡とは関係がなかった。
読後感想
カルシウム摂取は骨を丈夫にして、健康になれるという今までの認識がありましたが、今回の論文を読んで何でもかんでも摂りすぎはよくないものなのだと改めて思いました。最大で死亡率が2.57倍まで増えることに衝撃的でした。ただ横になってテレビを見ながら運動もせず食事やサプリメントからカルシウムを摂取するという生活は本末転倒であって、お日様の下で汗を流しながら運動をするのが骨折予防に一番と思います。(松岡 武徳)