日本ローカーボ食研究会

日本ローカーボ食研究会

ガイドライン発刊 ことの発端

ガイドライン発刊にあたり

ことの発端

 NPO法人日本ローカーボ食研究会は2016年9月初旬までに「ゆるやかな糖質制限食による2型糖尿病ガイドライン2016」を発刊する。昨年初夏から約1年間も費やして論文を集めて編集執筆作業を行い、その間に今までの臨床研究のなかでもっとも患者の生活に近い論文も投稿した。その顛末を書いてみたい。

 最近のAm J Clin NutriやAnn Intern Medでも未だにローカーボ食対カロリー制限食のランダム化比較試験の論文が掲載されている。摂取カロリーを1500~1600kcalへ制限した条件、つまりカロリー制限食に有利な条件下ではHbA1cは二群で差がなく、体重、血清脂質、糖尿病薬の減量効果でローカーボ群が有利というお決まりの結果となっている。私の知っているだけでもメタアナリシスは7編もあって、ほぼ同じ結果が出ているにもかかわらず未だにこのようなランダム化比較試験が掲載されるのは、それほど厳しい糖質制限食へ風当たりが強いということだろう。ローカーボそのものを患者に安全で効果的に提供するにはどうしたらよいかという臨床研究に専念している私から見ると欧米は戦国時代から脱していないように思える。欧米のような目的でローカーボを研究すると比較する相手がカロリー制限食であるから必然的に厳しい糖質制限食の研究になってしまう。

 最近アメリカのある医師のホームページが偶然私の目に留まった。私が2012年に書いた論文の批評が載っていたのである。この論文は、ゆるやかなローカーボで1年間2型糖尿病を治療すると腎症二期の尿中アルブミンは-50%も下がり、これは最大量のアンギオテンシン受容体阻害薬を使った効果に匹敵するという内容であった。ローカーボ食だけの効果を詳細に追跡しただけのデザインでRCTでないが故に一流の専門誌から断られてしまい、ある歴史が浅いオンラインジャーナルに掲載した。このジャーナルもその後人気となり現在ではSJR4.5(インパクトファクターに相当)に到達しているという。その医師は、ローカーボ臨床に徹した内容が気に入ったらしく「2012年度に発表されたローカーボ論文のなかで一番優れている、また、ローカーボ情報がほとんど発信されない日本からの臨床研究であるのも貴重である」という主旨がホームページに書かれていた。RCTではないが、臨床的で現実的な私たちの論文を最大限評価してくれていた。

 これはどういうことなのだろうか?どうしてアメリカの医師はたくさん発表にされている自国の有名専門誌に掲載されたRTCではなく、私の論文を評価したのだろうか?私たちの最初の論文もカロリー制限食VSゆるやかなローカーボの比較研究(2008年)であったが、あまりにもローカーボが優れていたので、その後の臨床研究は安全で患者に受け入れやすく、効果に優れている、そして医療側も指導しやすいゆるやかなローカーボとはどのような食事であるべきかの追求に終始してきた。アメリカの医師も私たちと同じ思いを抱いているのではないか。厳しい糖質制限食は長続きしないし、ハーバード大学は大規模観察研究の視点から厳しい糖質制限への警鐘を鳴らしているのだ。洋の東西を問わず、大多数の医師も糖尿病患者も、安全、長続きする、少ないがんばりで最大限の効果が得られ、わかりやすい指導、そのようなゆるやかなローカーボはどのようなものなのか、その中身を知りたがっているに違いない。

 そのような状況のなか、2015年春、われわれNPO法人日本ローカーボ食研究会の手によって“ゆるやかな糖質制限食による2型糖尿病治療のガイドライン”を発刊したらどうか、という提案が出された。ガイドラインは大きな学会でたくさんの研究者の知識を結集して発刊するものであって、私たちの力では無理なのではないか、という考えが私の脳裏を一瞬よぎった。しかし、アメリカの一臨床家は、私たちの臨床的な論文がその年で一番優れていると言っているではないか。そのようなローカーボ臨床に徹した私たちのローカーボ論文はすでに8編あった。それらを中心に臨床的な内容に徹するなら私たちにも書けるのではないか。そのように考えたのであった。

2016年 夏

NPO法人日本ローカーボ食研究会代表理事
灰本 元


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