日本ローカーボ食研究会

日本ローカーボ食研究会

第10回勉強会 印象記 高森里香

名古屋逓信病院 管理栄養士 高守里香

 ローカーボ食に関わるさまざまな方と意見交換できる定期勉強会は、大変貴重な機会であり、いつも楽しみに参加させて頂いています。
毎回、美味しそうなお菓子とお茶が用意されています。ローカーボ食の勉強会ということなので、なんとなく手を出すのは気が引けてしまうのですが、結局美味しくいただき、今回もなごやかな雰囲気です。
 私が勉強会に参加させて頂くようになったのは、2014年4月、当院に日本ローカーボ食研究会の理事である中村了先生が着任され、ローカーボ食を導入した食事療法を開始することになったことがきっかけでした。
今では、中村先生のサインと励ましの言葉入りの「正しく知る糖質制限食」は、交換表に代わる、私のテキストでありバイブルとなっています。
現在、当院では、食品交換表を利用した従来の食事療法とローカーボ食を、患者さんの生活スタイルにより、選択して食事指導を実施しています。
今年度は、週末を利用してローカーボ食のイメージを掴んでもらおうと、ローカーボ食体験入院の準備をすすめています。
 今回の症例提示は、60代の低体重の女性。
活発に活動されているスポーツ好きの方ですが、もともと痩せているうえ、ローカーボ食0.5cardを実施したら、ますます痩せてしまった、という症例でした。
独居の割に自炊をしっかりされていますが、野菜中心のあっさり和食系の食事内容です。
早速グループに分かれ、今後の方針について検討をすすめます。
① HbA1cが6.9%にコントロールされているので、薬はSU剤を中止してメトグルコのみとする。
② 摂取エネルギーの底上げのため、(野菜を減らしてでも)肉や魚を油を使った調理法で、洋
食も取り入れた献立を工夫しカロリーアップ。上手に間食も取り入れる。実際、現場でも多い症例でもあり、比較的スムースに方針が決まりました。
他のグループも大体同じような意見でまとまったようでした。
続いて灰本先生の解説です。
第一に優先すべきは、血糖値より体重。
食事については、ローカーボ食で主食量を減らしたことで摂取カロリーが減少してしまったので、糖質制限は緩めて、炭水化物量は192gまで増量する。
薬はメトグルコを減らし、少量のSU剤の使用継続、という結論でした。
インスリンの分泌能力が低下しているため、体重減少を食い止めるには、少量のSU剤は必要。私にとって意外だったのは、糖質量が増えたとしても、主食を増やしてカロリーアップを図る、ということでした。
灰本先生が、各グループの発表を聞きながら「たんぱく質増やしたら筋肉も増えますか?」「脂質を増やしたら増えますか?」と何度も問いかけていた訳です。やはりある程度糖質量を増やさないと体重アップはできないのでしょうか。
次に灰本先生から、高齢者の低体重リスクについて講義がありました。症例検討会に引き続き、体重を減少させてはいけないことを再確認しました。「体重>薬>HbA1c」、今回、これはしっかり頭に入れて帰ろうと思いました。
 続いて加藤先生による「果糖と果物」についての講義です。
糖尿病の患者にとって、間食を何で摂取したら良いか、というのは切実な問題です。果物は間食に奨められる数少ない食品で、食事指導時にも質問が多いところです。
ポイントは、果物の甘さと血糖値は直結しないこと。果物の中でも、糖質含有量の中のグルコースが多い果物が、より血糖値を上げること。果物は過剰摂取に注意して種類を選んで上手に摂ること。果物の糖質含有量について、早速指導用の資料を作り、栄養指導に生かしていきたいと思いました。
 ローカーボ食の食事指導は、医師や薬剤師の方とも連携する必要があり、私が日ごろ取り組んでいる多職種連携のNSTに通じるものがあると感じます。また、グループ討議は毎回非常に楽しく勉強させて頂き、モチベーションのアップにもつながります。今後もぜひ継続して参加させて頂きたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 最後になりましたが、Cチームの皆さま、ありがとうございました。

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