日本ローカーボ食研究会

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第5回定期勉強会印象記:名古屋市千種区 開業医 内科 村本秀行

第5回定例勉強会の印象記

名古屋市千種区 開業医 内科 村元秀行

 このほど催された定例勉強会は、以前にも増して参加人数が増えて盛況でした。何より代表の灰本先生の求心力の強さによるものではありますが、協賛のサノフィ社のお声掛けもあって、私の近隣のクリニックの先生方にも参加していただきました。この研究会の輪が広がっていくことへの期待感を感じました。

 第1部は、灰本クリニックからの症例提示で、「患者の性格、家庭環境、体重減少とHbA1c の乖離などで混乱した症例」についてのグループディスカッションでした。夕食の炭水化物制限を守った結果、体重減少が得られたにもかかわらず、HbA1c値が漸増していった症例でした。このような場合にどうするのか、といった現実的な問題について、各グループで討論されましたが、緩徐進行Ⅰ型糖尿病の可能性はどうか、あるいは炭水化物制限は本当に遵守されていたのか、提出された食事表は本当だったのか、といった意見や、膵臓癌の有無をしっかり確認すべき、と回答されたグループもありました。実際、造影CTが施行されて見事に膵臓癌が発見され、手術に向けての体調管理中、という症例でした。私は事前に灰本先生からCTを見せてもらっておりましたので、その所見の提示をさせていただきました。教育的であったのは、治療開始前と治療経過中に75g OGTTが複数回施行されており、治療前の75g OGTTに比してインスリン分泌の極度の低下が見出され、これが膵臓癌の発見につながったことです。この手法は非常に参考になるもので、今後は当院でも75g OGTTを積極的に考慮すべき、と感じました。考えてみればインスリン分泌能が極度に低下した原因として、膵臓癌の存在を疑うのは至極妥当な考え方ですし、糖尿病の最も重大な合併症は癌である、という最近の話題にもマッチしています。臨床の現場で、これと同じ状況下で迷わず膵臓癌を検索し、発見できるか、という意味で非常に示唆に富んだ症例でした。

 第2部は私が、ADAの最新食事ガイドラインを解説させていただきました。約10年分の文献のレビューで、これはもともと、ミニ勉強会に向けての抄読会のつもりで和訳担当させていただいたものでしたが、このような機会に発表させていただき、皆様の参考になったとすれば、光栄です。全体的には当研究会の主旨に見事に合致する内容であり、少なくとも穏やかローカーボ食の有用性、および目立った欠点がないことが再認識できました。食物繊維や低GI食も含めて、炭水化物の摂取方法を工夫することが、まだいろいろな好影響を及ぼす可能性が残っていると感じました。

 第3部は、篠壁先生による、「脂質、赤肉摂取量と総死亡に関する大規模コホート研究」の講演でした。赤肉の過剰摂取が糖尿病発症を増加させることや、とくに加工肉の摂取は癌の発生も増加させることが、当研究会でもともと重視されていた話題であったので、非常にタイムリーな内容でした。日本を含めたアジア人は一般に赤肉摂取量が少ないため、摂取量が多少増えても、1日平均100g未満であれば、結局問題はない、といった内容が深く印象に残りました。そうであれば、今まで赤肉摂取に関して過敏になりすぎていたようだ、と感じました。

 今後もこの研究会が発展し、自分にとっても有用な情報を得ることができればよいと思います。また次の学術集会を楽しみにしております。よろしくお願いします。

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