日本ローカーボ食研究会

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第5回定期勉強会印象記:じん薬局 薬剤師 北澤雄一

ローカーボ勉強会に参加した印象記

じん薬局 薬剤師 北澤雄一

 平成25年11月30日(土)に名古屋ルーセントタワー16階G会議室で開催された日本ローカーボ食研究会の定期勉強会に参加させていただきました。この定期勉強会には度々参加させていただいておりますが、毎回新たに参加される先生方を見るとこの会の広がりを感じずにはいられません。今回もグループワーク形式の症例検討をはじめ、文献抄読会、そして脂肪に関するコホート研究の解説といった内容で行われました。

 ローカーボの症例検討では灰本先生が提示された体重の減少とHbA1c値に乖離が見られる症例でした。この症例で問題となるのはHbA1c値には改善が見られないものの体重が減少している点です。またこの男性患者と妻との夫婦関係に問題があり現行の1CARDがきちんと行われているかがわかりにくいといった点も判断を難しくしたようです。このように患者の性格や患者をとりまく生活背景に注目しないと見えてこないものもあるのだと思いました。グループ内のディスカッションでは1CARDから2CARDへの変更やアルコール量の減量、インスリンの基礎分泌を補うといった様々な意見が出て短時間ながら有意義な議論ができたと思います。しかし、実はこの患者には膵臓癌が潜んでいたということでした。むらもとクリニックの村元秀行先生がそのCT画像を解説してくださいましたが、素人の私にはそれを何故癌だと疑うのかさえ理解できない世界でした。また、灰本先生は常日頃から糖尿病患者には癌が多いと指摘されておりますが、今回はまさにそれを象徴するような症例だったように思います。

 文献抄読会では村元先生がADAの最新食事ガイドラインを和訳してくださったものを分かりやすく解説してくださいました。今回のレビューでは主要栄養素の質および量のどのような面が糖尿病患者の血糖コントロールやCVDリスクに影響を与えるのかといった疑問について述べられていました。今回は時間の関係で文献の一部の解説となりましたが、村元先生がすべて和訳してくださっているので他の文献もこれからじっくり読んでみたいと思います。

 名古屋大学大学院医学系研究科の篠壁多恵先生は脂質・赤肉摂取と総死亡に関する大規模コホート研究について講演されました。アメリカと比べるとアジア諸国では総肉摂取、赤肉摂取が圧倒的に少ないという背景もありますが、この最新の研究結果ではアジア人においてはある程度(100g以内)の赤肉摂取は総死亡率に悪い影響を与えないということでした。更に男性では心疾患による死亡を、また女性では癌による死亡をそれぞれ減少させるといった結果は意外なものでした。人種や食習慣などの相違も考慮した上で議論しなければ真実は見えてこないということなのだと思います。そして今後さらに研究が進めばまた新しい事実が分かってくると思いますが、是非それらに注目したいと思います。

 今回の勉強会も色々と学ばせていただくことができました。また、グループワーク形式の症例検討では医師や管理栄養士の先生方のローカーボに関する色々な意見や考え方を直接聞くことができたので薬剤師である私にとってはとても貴重な時間となりました。今後もローカーボに対する知識を更に深めるために積極的に参加させていただきたいと思います。

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