論文要旨和訳2015年2月①
2型糖尿病を発症した成人におけるBMIと死亡危険度
Deirdre K. Tobias, Sc.D., An Pan, Ph.D., Chandra L. Jackson, Ph.D.,
Eilis J. O’Reilly, Sc.D., Eric L. Ding, Sc.D., Walter C. Willett, M.D., Dr.P.H.,
JoAnn E. Manson, M.D., Dr.P.H., and Frank B. Hu, M.D., Ph.D.
背景:いくつかの研究が正常体重の人と比較して体重過多あるいは肥満の人では死亡率が減少すること(肥満の逆説)を示唆しているなか2型糖尿病患者における体重と死亡率の関連性は解明されないままである。
方法:糖尿病と診断されたときに心血管疾患や癌を罹患していなかった参加者のうちNurse’ Health Studyの糖尿病を発症した8970名とHealth Professionals Follow-upの2457名を研究した。糖尿病と診断される直近の体重と身長がBMIを計算するために用いられた。Cox回帰分析がBMIの区分別の死亡率のハザード比や95%信頼区間を推定する為に用いられた。
結果:追跡の平均期間の15.8年の間に3083名が死亡した。BMIの区分(18.5-22.4,22.5-24.9,25.0-27.4,27.5-29.9,30.0-34.9,≧35.0)と総死亡(ハザード比1.29[95CI1.05-1.59];1.00;1.12[95%CI0.98-1.29]1.09[95CI0.94-1.26];1.24[95%CI1.08-1.42];1.33[95%CI1.14-1.55])の関係にJカーブが認められた。この関連性は喫煙歴のない参加者では直線的であったが(BMI別のハザード比:1.12,1.00,1.16,1.21,1.36,1.56)、喫煙歴のある参加者では非直線的であった。(BMI別のハザード比:1.32,1.00,1.09,1.04,1.14,1.21)(p = 0.04)直線傾向は糖尿病と診断された時点の年齢が65歳以上ではなく65歳未満の参加者で認められた。(p < 0.001)
結論:すべての糖尿病発症者と喫煙歴のある糖尿病発症者ではBMIと死亡危険度の間にJ型の関係を認めた。糖尿病の診断時に体重過多あるいは肥満であった患者群では正常体重の患者群と比較して死亡率がより低いというエビデンスやobesity paradox(肥満の逆説)のエビデンスは見出さなかった。
N Engl J Med 2014;370:233-44.
DOI: 10.1056/NEJMoa1304501
(http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1304501)