日本ローカーボ食研究会

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201.小児の胃腸炎に対するプロバイオティクス配合剤(整腸剤)の多施設試験

Multicenter Trial of a Combination Probiotic for Children with Gastroenteritis.
Freedman SB, et al. N Engl J Med. 2018 Nov 22;379(21):2015-2026.
doi: 10.1056/NEJMoa1802597.

【背景】
 米国では年間1,700,000人の子どもが胃腸炎で救急科を受診する.プロバイオティクス配合剤(整腸剤)の使用がこれらの子ども達の予後を改善するかどうかのデータは不足している.

【方法】
 我々はカナダの6つの小児救急科を胃腸炎で受診した3〜48ヶ月の886人を対象にランダム化二重盲検法を行った.参加者はLactobacillus rhamnosus R0011とL.Hleveticus R0052のプロバイオティクス配合剤を4.0×109コロニー形成単位,1日2回を5日間投与した群とプラセボ群に振り分けた.主要評価項目は中等症から重度の胃腸炎とし,その定義は登録後の修正Vesikari症状スケールで9またはそれ以上(スコアは0〜20で,高い程,より重症である)とした.副次評価項目は下痢と嘔吐の期間,予期せぬかかりつけ医の受診,副反応の有無である.

【結果】
 登録後14日以内に中等症から重症の胃腸炎を発症したのはプロバイオティクス群で414人中102人(26.1%),プラセボ群で413人中102人(24.7%)であった(オッズ比,1.06;95%信頼区間,0.77-1.46;P=0.72).場所,年齢,便中ロタウイルス,登録前の下痢と嘔吐の頻度等を補正した上で,プロバイオティクス群の中等症から重症の胃腸炎を推測を試みたができなかった(オッズ比,1.06;95%信頼区間,0.76-1.49;P=0.74).プロバイオティクス群とプラセボ群で平均下痢期間に優位差を認めなかった(それぞれ52.5時間〔四分位範囲,18.3-95.8〕と55.5時間〔四分位範囲,20.2-102.3〕p=0.31)または嘔吐(17.7時間〔四分位範囲,0-58.6〕と18.7時間〔四分位範囲,0-51.6〕,p=0.18),登録者の予期せぬかかりつけ医受診の割合は(30.2%と26.6%;オッズ比,1.19;95%信頼区間,0.87-1.62;p=0.27),登録者の副作用報告は(34.8%と38.7%;オッズ比,0.83;95%信頼区間,0.62-1.11;p=0.21)であった.

【結果】
 胃腸炎で救急を受診した小児で1日2回のL. rhamnosusとL.hleveticus配合の成長時は登録後14日以内の中等症から重度の胃腸炎への進行を予防できなかった.

【読後感想】
 小児の胃腸炎,特に下痢に対して整腸剤はよく処方される.その効果について疑問視されてはいる.本邦で処方されている菌種とは異なるが,今回の研究では下痢の期間短縮には優位差はないとされた.整腸剤による有害事象はプラセボ群と比較して優位差は認めなかったが,本当に必要な処方なのか再度考え直す必要があると思われる.

(医師 蟹江健介)

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