1.糖尿病の分野における論文著者の業績
糖尿病の治療ガイドラインが信用できるとは思えない理由が満載
「糖尿病の分野における論文著者の業績:臨床介入研究の文献分析」
「Productivity of authors in the field of diabetes : bibliographic analysis of trial publications (Hollemman, F. et al. , BMJ (2015) 350:h2638)」
目的:血糖降下薬による臨床介入研究の論文発表が一部の著者グループ(supertrialists)に偏っているか否かを検証し、同時にそれら著者の特徴を明らかにする。
デザイン:臨床介入研究論文について文献解析をする。
方法:血糖降下剤が関与するすべての無作為化比較試験(RCT)について、1993年1月1日から2013年12月30日の間に出版されたデータベースのPubMedを検索した。この文献検索により、110名の文献を量産する著者を特定した。さらに、彼らが発表した991編のRCT論文について、著者数,商業的なスポンサー権,会社の著作権,利益相反等々を調査分析し、その内上位11名についてはより詳しい解析をした。
主要評価項目:上位110名及び上位11名の著者によって発表された論文の割合。
結果:データベースから13,592名の著者による3,782編の論文を突き止めた。上位110名の著者は全論文の中の1,227編(32.4%)に、そして上位11名は397編(10.5%)に著者として名前を連ねていた。上位110名人の著者は991編のRCT論文を発表しており,1人当たり平均20編本(最少4編–最大77編)であった。上位11名は354編のRCT論文を発表しており,1人当たり平均42編(36-77編)であった。上位110名の著者うち48名は製薬会社に雇用されていた。991編のRCT論文のうち906編には商業スポンサーがついていた。利益相反を調べることが出来た704編のRCT論文のうち、製薬会社とは全く独立して書かれたと見なされる論文は僅か42編(6%)であった。991編のうち439編(44.3%)の論文で医学論文執筆補助者に対して謝辞が述べられていた。
結論:過去20年の間に血糖降下薬による臨床介入研究の論文数は爆発的に増加した。そのなかで、一部の著者はエビデンスに基づく治療指針の作成で相応しくない役割を果たしている;糖尿病の血糖降下薬のRCTによるエビデンスの3分の1は,僅か1%未満の著者によって作られている。これらの著者のうち44%は会社の社員であり56%は製薬会社と深い関係をもつ学者であった。