日本ローカーボ食研究会

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118.食品および飲料からの水分摂取量と心血管疾患(CVD)による死亡リスク:JACC研究

Water intake from foods and beverages and risk of mortality from CVD: the Japan Collaborative Cohort (JACC) Study
Renzhe Cui et al Public Health Nutrition doi:org/10.1017/S1368980018001386

【目的】
 CVDによる死亡リスクと水分摂取量との関係を調査する。

【デザイン】
 前向きコホート研究

【設定/参加者】
 JACC研究に登録されており、食品および飲料からの水分摂取量に関してのデータが入手可能な40-79歳の男性22939人と女性35362人。潜在的な死因は国際疾病分類に基づいて判定された。

【結果】
 追跡期間の中央値である19.1年の間に男性1637人と女性1707人がCVDによって死亡した。男女共に水分摂取量とCVDリスクとの間には逆相関が認められた。水分摂取量が五分位で最も少ない参加者と比較して、水分摂取量が五分位で最も多い参加者の全てのCVDによる死亡に対する多変量調整ハザード比(95%CI)は男性で0.88(0.72-1.07、P=0.03)、女性で0.79(0.66-0.95;P=0.10)であった。同様に、冠動脈心疾患に対するハザード比は男性で0.81(0.54-1.21;P=0.06)そして女性で0.60(0.39-0.92;P=0.20)であった。虚血性脳卒中による死亡リスクの減少は、水分摂取量が五分位で最も多い女性で認められ、ハザード比は0.70(0.47-0.99、P=0.19)であった。男女共に水分摂取量と出血性脳卒中による死亡との間に関係はなかった。

【結論】
 食品や飲料からの水分の高摂取量は、日本人において男女で心血管死のリスク減少と関係しており、女性で虚血性脳卒中のリスク減少と関係していた。

【読後感想】
 飲食からの水分摂取が少ないと虚血性脳卒中や、心血管死が増えそうなのはイメージできやすいと思います。では虚血性脳卒中や、心血管死のリスクを減らすためには何L飲むとよいかという目安が今回のデータで見えてきました。水分摂取が一番少ない五分位で約1.1L、一番多い五分位で約1.7Lなので、1日1Lは最低でも飲むようにし、できたら1.7L飲めるとより心血管リスクを減らすことができると考えられます。
皆さん夏場は意識して水分をよく摂られますが、寒くなると水分摂取が減りやすいので、今回の研究の結果は冬場の水分摂取の目安にしてもらいたいと思います。

(薬剤師 松岡武徳)

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