日本ローカーボ食研究会

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73.成人の睡眠時無呼吸におけるPAP療法と心血管イベントおよび死亡との関連:システマティックレビューとメタ解析

Association of Positive Airway Pressure With Cardiovascular Events and Death in Adults With Sleep Apnea: A Systematic Review and Meta-analysis.
Jie Yu et al, JAMA. 2017 Jul 11;318(2):156-166.


【重要性】:睡眠時無呼吸(閉塞性および中枢性)は心血管に対する有害なリスク因子と関連しており、心血管疾患の発症リスクを増加させる。PAP療法は、持続性陽圧療法(CPAP)あるいは適応補助換気(ASV)のどちらであっても症状を軽減させるが、心血管アウトカムや死亡との関連は不明である。

【目的】:睡眠時無呼吸患者においてPAP療法群対コントロール群で心血管イベントおよび死亡との関連を評価する。

【データ源、研究選択】:主要な心血管イベントまたは死亡についての調査報告を含んだランダム化比較試験を調べるためにMEDLINE、EMBASE、Cochrane Libraryを試験開始から2017年3月まで系統的に検索した。
データの抽出、統合:2人の著者が独立して標準化された形式でデータを抽出した。相対リスク(RRs)、リスク差(RDs)、95%信頼区間はランダム効果モデルを用いて算出した。
主要評価項目、測定:主要評価項目は急性冠症候群(ACS)の発症、脳卒中あるいは血管死(主要心血管イベント)のコンポジット、疾患別血管イベント、死亡とした。

【結果】:この解析には睡眠時無呼吸患者に関する10の試験(9CPAP; 1ASV)からのデータが含まれた。(N=7266; 平均年齢60.9歳[51.5-71.1]; 男性5847人[80.5%]; 平均BMI[SD]; 30.0[5.2] 356件の主要心血管イベントの発症と613件の死亡が確認された中でPAP療法と主要心血管イベント(RR 0.77[95%CI 0.53-1.33]; P=0.19 RD -0.01[95%CI -0.03-0.01]; P=0.23)、心血管死(RR 1.15[95%CI 0.88-1.50]; P=030 RD -0.00[-0.02-0.02]; P=087)、総死亡(RR 1.13[95%CI 0.99-1.29]; P=0.08 RD 0.00[95%CI -0.01-0.01]; P=0.51)に有意な関連はなかった。急性冠症候群、脳卒中、心不全についても同様の結果であった。CPAPと ASVとの間に関連性の差はなく(均質性P>0.24)、メタ回帰分析によってPAP療法と無呼吸のそれぞれの重症度に対するアウトカム、追跡期間、患者のPAP療法に対するアドヒアランスに関連がないことが証明された(P>0.13)。

【結論、関連性】:PAP療法は無治療あるいはPAP療法以外の治療と比較して、睡眠時無呼吸患者における心血管疾患の発症リスクまたは死亡リスクの減少と関連がなかった。睡眠時無呼吸に対するPAP療法の有益性は他にも存在するとはいえ、この研究結果は心血管イベントの発症および死亡の予防を目的としたPAP療法を支持しない。

【読後感想】:今回の論文は睡眠時無呼吸に対する陽圧呼吸(PAP)療法が心血管イベントや死亡リスクを低減しないという結果だった。2017年のJAMAには別の研究者によるメタアナリシスが発表され、ほぼ同じ結果となっている。広く行われ始めていた治療だけに心血管イベントや死亡リスクに差が出なかったのは意外だったが、この二つのメタアナリシスによってPAP療法は生命予後には無関係の治療だということが確立したと言ってよい。結局は睡眠時無呼吸の有無にかかわらず、血圧、血清脂質、血糖のコントロールが心血管疾患の発症や死亡を抑制するに尽きる。しかし、いびきや日中の眠気の改善など生活の質の向上という点ではPAP療法も使えると思う。結局は何を目的に治療を行うかで治療の必要性が決まるということだろう。(薬剤師 松岡武徳)

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