日本ローカーボ食研究会

日本ローカーボ食研究会

第5回学術総会参加者の印象記5

学術総会参加の印象記

小早川医院  管理栄養士  江口 まどか

 2015年3月1日に開催されました日本ローカーボ食研究会第5回学術総会に初めて参加させて頂きました。医師、薬剤師、管理栄養士をはじめとする様々な職種の方々が参加されました。
 今年度の学術総会では第1部では特別講義として灰本先生による「段階糖質制限法に対する海外の反応、論文の査読者から見えてきたこと」、そして米田先生による「心臓外科手術でやせるべき時、太るべき時」、最後には加藤先生による「果糖代謝とブドウ糖代謝の関係」といった私にとっては大変興味深い内容で、お話を聞くことができました。
 灰本先生の講演は体重とローカーボの関係をはじめ、HbA1cの値を3段階に分けてローカーボを行うことである程度の糖質目標値を設定できるようになったという私たちが栄養指導をする上で大変活用できる内容をお聞きすることができました。また、このような論文を海外へ投稿すると査読者によって評価がかなり違うという現実も教えていただきました。
 2つ目、米田先生の講演は心臓手術予定患者で太っている人にはローカーボ、痩せている人にはハイカーボと試み良好な結果を得たという報告でした。特にメタボ関連の問題に悩む心臓手術の患者さんの予後に役立つ可能性もありローカーボの逆を行く糖質+脂肪の前向き使用は同じく術後の回復に役立つ可能性があることを教えていただきました。また、これに関連して第2部では余呉先生より実際に行ったエネルギー制限と減量効果の検討結果を発表され、さらには実際に患者様へ提供されている食事内容の写真も紹介して頂き、非常にクオリティの高いお料理を提供されていることを知りました。管理栄養士さんの献立作成能力の高さにも感激させられました。
 そして3つ目、非常に興味深かった加藤先生による講義では、甘みの強い果糖について実際に果物に含まれているフルクトース、グルコース、スクロースの含有量の割合をはじめ、果糖の代謝において、ブドウ糖と何が違うのかを詳しく学ぶことができました。栄養指導をする際にも果物の摂取量については悩みどころでもありました。今日の講義を聞いて果物も一長一短ありますが患者さんには上手に摂り入れてもらえるよう指導してきたいなと感じました。
 さて、2部に入る前にランチョンセミナーということで協賛して頂いた企業様からチキンカレー、ミネストローネ、パン、ベイクドチーズケーキとこれだけ食べても糖質30gといった内容でランチを頂きました。どれもとてもおいしく、しっかりと完食させて頂きました。お腹の満足感はもちろん、見た目のボリュームでも満足感を得ることができました。そしてランチョンセミナーということでランチと一緒に名古屋大学大学院で栄養疫学を研究されている篠壁先生より「ゆるやかな糖質制限食前後の献立や料理の変化」といった内容の講義をお聞きすることができました。ローカーボ実践後の調理方法の変化も楽しく聞かせていただきましたが、篠壁先生が最近まで行かれていたフィリピンの食事内容にとても興味を持ちました。ほとんど糖質。そして常用飲料としてサイダー。さらには糖尿病患者の増加の現実を知りました。後ほどのパネルディスカッションではこのような糖質がほとんどの食事を占めている場合の栄養指導はどうするのか?という質問もあり管理栄養士の先輩でもある篠壁先生の生の栄養指導法をお聞きすることができ大変勉強になりました。
 第2部では医師と管理栄養士との連携ということで各病院の管理栄養士が症例発表を行いました。数か月にわたる食事日記や検査データ、体重の変化、さらには患者様の気持ちの変化、実際に行った栄養指導の内容などを詳しく知ることができました。
 そして最後に発表された灰本クリニックの渡辺先生からはロールプレイングによる管理栄養士教育ということで実際に栄養指導を実践されている映像を供覧させて頂きました。なかなか自分以外の栄養指導を見る機会が無い為、渡辺先生のように自分の姿をビデオカメラで撮り、後ほど皆でディスカッションすることは斬新でした。管理栄養士のスキルアップに効果的であると感じました。患者様への話し方、聞き取り方、そして伝えるべきことがきちっと伝えられているかを第3者にチェックしてもらうことで、より的確な栄養指導ができるようになるのではないかと思いました。ただ、管理栄養士の精神的苦痛があるという発表はその通りだなと。笑いながらも楽しく聞かせて頂きました。

今回この学術総会へ参加させていただき、すべてにおいて学ぶことが多く私にとってはとても有意義な時間を過ごすことができました。
当院でも通院される患者様に栄養指導を行っています。
栄養指導の際は事前に1件1件院長とディスカッションをして臨みます。そのおかげでかなりブランクのあった私でも病気のこと、薬のこと、食事のことなど短期間に学習することができ、実際の栄養指導に役立っています。まだまだ学ばなければいけないことは沢山ありますが、臨床経験を積むことで様々な力がついてくると感じています。私自身、仕事をする上で日々進歩していきたいと考えています。それにはこの学術総会のように普段では意見交換をできないような方々とディスカッションすることができる場に参加することも大切だと考えています。そして先生方のプレゼンの仕方、資料の作り方、見せ方なども大変参考になります。
 今回、このような会に参加できたことを大変嬉しく思っています。ここで学んだことを活かして、いっそう栄養指導の精度を高めていきたいと思います。

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