日本ローカーボ食研究会

日本ローカーボ食研究会

102.睡眠時間は超過勤務と2型糖尿病の発症リスクとの関連性を変化させる:産業衛生調査に基づく日本疫学共同研究

Sleep Duration Modifies the Association of Overtime Work With Risk of Developing Type 2 Diabetes: Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study
Keisuke Kuwahara et al. J Epidemiol 2018;28(7):336-340

【背景】
 アジア人での勤務時間および2型糖尿病の発症リスクに関するエビデンスは限定されており、矛盾が多い。2型糖尿病の発症リスクに対する長時間勤務および睡眠不足の関連性を扱った研究は存在しない。我々は、日本人においてベースラインでの超過勤務と2型糖尿病の発症リスクとの関連性を調査し、睡眠時間によってその関連性が変化するかを評価した。

【方法】
 参加者は、30-64歳の日本人労働者(男性:28489人、女性:4561人)であり、残業時間が報告され、ベースライン時(主として2008年)に糖尿病歴がなかった。参加者は2014年3月まで追跡した。新たな2型糖尿病の発症は、空腹時あるいは随時血糖値、HbA1c、薬物治療の自己申告を含む追跡期間での検査データを用いて確認した。2型糖尿病発症のハザード比(HRs)はCox回帰分析を用いて算出した。睡眠時間および勤務時間の2型糖尿病の発症に対する関連性は労働者のサブグループで調査した。(n=27590)

【結果】
 平均追跡期間の4.5年の間に1975人が2型糖尿病を発症した。超過勤務は2型糖尿病の発症と著しい関連はなかった。しかし、サブグループ解析では対照群(残業<45時間かつ睡眠不足なし)と比較して、長時間勤務と睡眠不足の組み合わせは2型糖尿病のより高い発症リスクと有意に関連した(HR 1.42; 95%CI, 1.11-1.83)のに対して、長時間勤務と睡眠不足なしの組み合わせは関連しなかった。(HR 0.99; 95%CI, 0.88-1.11)

sleep_duration.jpg

【結論】
 睡眠時間は超過勤務と2型糖尿病の発症リスクとの関連性を変化させる。糖代謝に対する長時間勤務の長期にわたる影響を解明するために更なる調査が求められる。

【読後感想】
 長時間労働とそれによる睡眠不足で対照群より2型糖尿病の発症リスクが4割程度高いという結果であったが、興味深いのは睡眠不足であっても、それが労働以外に費やす時間であれば逆に対照群より発症リスクが低い(HR0.86)という点である。(Figure参照)効率よく業務をこなし、スポーツや趣味に費やす時間、家族と過ごす時間などを確保することが産業衛生的には理想とされるのであろう。しかし、労働者全体でどこまでこの理想を達成できるのかはまた別の問題である。

(薬剤師 北澤雄一)

おすすめコンテンツ

企業の皆様へ入会ご協力のお願い

・学術総会
第9回学術総会
終了

・定期勉強会
第15回定期勉強会 延期

・講演会
未定

ローカーボについての医学的総説と指導方法の総説です。

管理栄養士 現在の募集依頼ありません

賛助会員

協賛医療機関

医療法人芍薬会灰本クリニック むらもとクリニック 内科・漢方 安井医院 渡辺病院