日本ローカーボ食研究会

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95.日本人1型および2型糖尿病患者の血清グルコース値、血清コレステロール値、血圧値:バイオバンクジャパン

Serum glucose, cholesterol and blood pressure levels in Japanese type 1 and 2 diabetic patients: BioBank Japan
Hiroshi Yokomichi et al. Journal of Epidemiology 27 (2017) S92-S97
http://dx.doi.org/10.1016/j.je.2016.12.013

【背景】
 大規模な地域住民を由来とする日本人糖尿病患者の特性のエビデンスが必要である。1型と2型糖尿病患者で血糖コントロール、合併症、併存疾患を比較した研究はほとんど行われてきていない。本稿では、多施設データを用いた日本人糖尿病患者の臨床像の例示、および1型と2型糖尿病患者での血糖コントロールと生命予後の比較に焦点を当てている。

【方法】
 バイオバンクジャパンプロジェクトは、2003年度から2007年度に成人1型および2型糖尿病患者を登録した。
我々は、患者特性、血清グルコース値、血清コレステロール値、血圧値、合併症および併存疾患の有病率、生存率曲線を提示した。また我々は、個々の糖尿病患者の様々なプロファイルに基づく血糖コントロールを示した。

【結果】
 全体で1型糖尿病患者558名と2型糖尿病患者30,834名がこの研究に参加した。平均ヘモグロビンA1c値は、2型糖尿病患者よりも1型糖尿病患者で高値であった。1型糖尿病患者では、ヘモグロビンA1c値は年齢およびBMIによる傾向に一貫性は認められなかった。Kaplan-Meier法による生存率の解析は、2型糖尿病患者より1型糖尿病患者でベースラインからの生存期間がより長いことを示した。1型糖尿病患者と比較して、2型糖尿病患者は大血管合併症の有病率が2倍であった。

【結論】
 この研究により、年齢、BMI、血圧値、血清コレステロール値、喫煙および飲酒の習慣による1型および2型糖尿病患者の詳細な血漿グルコース値が明らかとなった。また我々のデータは、日本では1型糖尿病患者より2型糖尿病患者の方が予後が悪いことを示している。

Japanese_type_1_and_2_diabetic_patients.jpg

【読後感想】
 私は1型糖尿病患者の方が2型糖尿病患者よりHbA1cや予後が悪いと思い込んでいた事もあり、今回の結果を見て驚きました。日本人糖尿病患者の大規模なデータは見たことが無かったので、今回の結果が民族性の部分なのか?それとも欧米でも同じような結果なのか?関連した論文を読んでみたいと思います。

(梶梅 晴生) 

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