日本ローカーボ食研究会

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75.一般的に体重変化と関連した薬剤

一般的に体重変化と関連した薬剤:システマティックレビューとメタアナリシス
Clinical review: Drugs commonly associated with weight change: a systematic review and meta-analysis.
Domecq JP. Et al. J Clin Endocrinol Metab. 2015 Jan 15.

背景:いくつかの薬剤は副作用として体重への増減に対して影響を及ぼす。

目的:日常処方された薬とそれらの体重変化との関連性についてのエビデンスをまとめるためにシステマティックレビューとメタアナリシスを行った。

情報源:治験の情報源として以前に発表されたシステマティックレビューを確認するために、MEDLINE、DARE、コクランデータベースのシスティマテックレビューを検索した。

研究の選択:演繹的※に選ばれた薬剤とプラセボを比較し、体重変化を測定した(記録した)無作為化試験を採用した。

データ抽出:選択した研究から二重にデータを抽出し、Cochreneの”risk of bias tool”を用いて、この研究の方法論の質を評価した。

結果:本研究には257の無作為化試験が含まれた(54の異なる薬:84696人の登録)。体重増加と関係したのはアミトリプチリン(+1.8kg)、ミルタザピン(+1.5kg)、オランザピン(+2.4kg)、クエチアピン(+1.1kg)、リスペリドン(+0.8kg)、ガバペンチン(+2.2kg)、トルブタミド(+2.8kg)、ピオグリタゾン(+2.6kg)、グリメピリド(+2.1kg)、グリクラジド(+1.8kg)、グリブリド(+2.6kg)、グリピジド(+2.2kg)、シタグリプチン(+0.55kg)、ナテグリニド(+0.3kg)。体重減少と関係したのはメトホルミン(-1.1kg)、アカルボース(-0.4kg)、ミグリトール(-0.7kg)、プラムリンチド(-2.3kg)、リラグルチド(-1.7kg)、エキセナチド(-1.2kg)、ゾニサミド(-7.7kg)、トピラマート(-3.8kg)、ブプロピオン(-1.3kg)、フルオキセチン(-1.3kg)。その他の多くの薬剤では(降圧薬と抗ヒスタミン薬を含む)、体重変化は統計学的に有意ではないか、エビデンスレベルの低い結果となった。

結論:いくつかの薬剤は変化の幅の差があるものの体重変化に関連がある。この研究結果は体重増加をきたしやすい薬が処方されるとき、いくつかの薬の選択があり予防的に体重管理の戦略を立てるときに役に立つだろう。

※演繹的:一般的・普遍的な前提からより個別的・特殊的な結論を得る論理的推論の方法

読後感想:薬剤師の実感として実際に薬を渡していると、体重を増やす薬と減らす薬の今回のデータと自分の印象に近いと思いました。予想以上にゾニサミドが7.7kgも体重を減らしたり体重増加の目的で使うスルピリド(ドグマチール)が入っていなかったり予想外の結果もありました。結論ではアメリカの事情を反映して体重減量を目的を主眼としていますが、日本では体重を増加させなければいけない時もしばしばあるので、両方を合わせるといろいろな使い方ができると思いました。一般名と商品名、体重の増減をリストにしてまとめておきますので皆さんも参考にしていただければと思います(薬剤師 松岡武徳)。

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