日本ローカーボ食研究会

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39.クラリスロマイシン使用と心血管疾患転帰の関係

クラリスロマイシン使用と心血管疾患転帰の関係:地域住民研究
Cardiovascular outcomes associated with use of clarithromycin: population based study.
*J Clin Endocrinol Metab.* <http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26678656>*
2016 Feb;101(2):461-9.*
*Claesen M*<http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Claesen%20M%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=26678656>
Angel Y S Wong et al.BMJ 2016;352:h6926

研究疑問:クラリスロマイシンの使用と心血管疾患の転帰の間に何の関係があるか?

方法:この地域住民研究では、著者らは経口のクラリスロマイシン又はアモキシシリンを2005-2009年に香港で飲んでいた18歳以上の成人の心血管疾患の転帰を比較した。5年以内の年齢、性別、使用時の暦を基準としてクラリスロマイシンの使用者に対し1人又は2人のアモキシシリン使用者とマッチさせた。このコホート研究はクラリスロマイシン(n=108988人)又はアモキシシリン(n=217793人)を飲んだ患者を含んでいた。セルフコントロールケース分析とケースクロスオーバー分析は、クラリスロマイシンを含んだヘリコバクターピロリ除菌治療を受けた患者を含んでいた。主要評価項目は心筋梗塞であった。副次評価項目はすべての原因による死亡、心又は非心疾患による死亡、不整脈、脳卒中であった。

研究の結果および限界:抗生剤治療が始まって14日後の心筋梗塞の傾向スコア調節比はクラリスロマイシン使用(132例、1000人年当たり44.4例)とアモキシシリンの使用(149例、1000人年当たり19.2例)を比較すると3.66(95%CI2.82-4.76)で、であった。しかし長期間でのリスクの増加は観察されなかった。同様に副次評価項目の傾向スコア調節比は、脳卒中をのぞいて、クラリスロマイシンはアモキシシリンに対しての最近の使用においてのみ有意に増加しました。セルフコントロールケース分析において、それらはクラリスロマイシンを含むヘリコバクターピロリ除菌治療で最近の使用と心血管疾患イベントの間に関係があった。そのリスクは治療が終了して以後は治療前に戻った。ケースクロスオーバー解析はまたクラリスロマイシンを含む最近のHピロリ除菌治療が心血管イベントのリスクを増やすことを示した。最近のクラリスロマイシン使用のアモキシシリン使用に対する調節絶対リスクの差は、1000患者につき1.90(95%CI1.30-2.68)の過剰な心筋梗塞イベントであった。

この研究で言いたいこと:香港の地域住民において、最近のクラリスロマイシンの使用は心筋梗塞、不整脈、そして短期間での心疾患死亡の増加と関係があった、しかし長期間での心血管リスクは関係がなかった。

読後感想:クラリスロマイシンは抗生剤の中でも使用頻度が高い印象の薬のひとつです。今回のような研究結果が出てくると高齢者や、その他の病気の既往を持つ方にクラリスロマイシンが出たとき、今まで以上に心配になります。ちなみにピロリ菌の除菌では800mg/日に対しマクロライド少量長期療法では200mg/日で使い服用量に4倍の差がありますが、心血管リスクがどの程度変わってくるかなど、いろいろな切り口で新たな研究結果が出てくると面白いと思います。(薬剤師 松岡武徳)

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