日本ローカーボ食研究会

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205.急性心筋梗塞患者におけるスタチンエスケープ現象の臨床転帰に及ぼす影響:Nagoya Acute Myocardial Infarction Study (NAMIS)のサブグループ解析

Tomoyuki Ota, et al. Atherosclerosis 242 (2015) 155-160
DOI: https://doi.org/10.1016/j.atherosclerosis.2015.07.012

【背景】
 スタチンは主にLDL-C値を強力に低下させる効果があるため、心血管疾患の一次予防および二次予防において有効であると報告されている。 しかし、長期にわたってスタチン療法を継続している患者では、LDL-C値がわずかに上昇する、いわゆる“スタチンエスケープ現象”を示すことがある。本研究の目的は、急性心筋梗塞(AMI)患者においてスタチンエスケープ現象が長期の臨床転帰に及ぼす影響を調査することである。

【方法】
 2004年1月から2012年12月の期間に治療されたNagoya Acute Myocardial Infarction Study (NAMIS)の1144人の患者に関するサブグループ解析。AMI発症後にスタチン療法を開始した660人の患者を解析した。
スタチンエスケープ現象は、スタチン療法を開始して4週間後のLDL-C値を初期値とし、治療期間9ヶ月でのLDL-C値の初期値からの10%増加として定義された。患者は、スタチンエスケープ現象を示したかどうかによって2群に分けられ、非エスケープ群が474人、エスケープ群が186人であった。

【結果】
 非エスケープ群と比較して、エスケープ群では治療開始後4週間でLDL-C値は有意に低値を示した。(81.3±20.1mg / dL対101.1±25.4mg / dL, P <0.01)対照的に、エスケープ群は治療開始後9ヶ月でLDL-Cは有意に高値示した。(105.8±28.3mg / dL対90.3±22.6mg / dL, P <0.01)MACCE(総死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイント)は非エスケープ群よりエスケープ群でより高頻度であった。(10.8%対6.1%、P = 0.03)多変量解析によってスタチンのエスケープ現象がMACCEに対する独立した予測因子であることが示された。(HR: 2.02, 95%CI: 1.11-3.66, P = 0.02)

【結論】
 スタチンエスケープ現象は、心筋梗塞患者における長期の臨床転帰に対する独立した予測因子である可能性がある。

【読後感想】
 長期スタチン療法中にLDL-C値が初期低下後に再上昇するスタチンのエスケープ現象というのを聞いた事があったが、実際にエスケープ群と非エスケープで予後を調査したデータを見たのは初めてだったので楽しく読むことができた。エスケープの理由について調べてみると、合成を阻害することで反対に吸収が亢進する事でLDL-Cの値が上昇してくるという事が分かり、改めて体の仕組みは面白いなと感じた。他にもエスケープ現象の論文を探してみてエスケープ群の治療戦略など探っていきたいと思う。

(梶梅 晴生)

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