日本ローカーボ食研究会

日本ローカーボ食研究会

演者6

1、ローカーボ食の栄養指導

ハイカーボ食(カロリー制限食)とローカーボ食(Carbohydrate-reduced diet=CARD食)の栄養指導における違いは、管理項目が「カロリー」に対して「糖質(炭水化物)」、管理方法が「計算」に対して「除去」、対象の食事が「3食すべて」に対して「目的別(個々で違う)」、栄養的数値目標が「明確」に対して「なし」などがある。ローカーボ食(CARD食)では、「除去」することで炭水化物(糖質)量を制限するため、現在の食事内容を把握するために「開始前の食事日記」を記載してもらうのが望ましい。初回指導には「ローカーボ食の概要」、「食べても良い食品・要注意の食品」、「油(脂質)をしっかり摂りましょう」の基本プリント3枚を利用する。

ローカーボ食(CARD食)独自の指導法を3つ紹介する。

①  いつでも「糖質=血糖値」をイメージしてもらう

食事日記などと照らし合わせ、どこで血糖値が上がっていたか、またローカーボ食実施後どのように血糖値の山が変化するかをイメージしてもらう。

②  食事前後の血糖測定

ローカーボ食(CARD食)で実際に血糖値が上がらないか、高炭水化物(糖質)食ではどれぐらい上がるかを確認するため、食前と食後約1.5時間で血糖測定を勧める。「糖質=血糖値」の理解も深まり、食事療法への動機づけとなる。

③  炭水化物(糖質)量を表示で確認

栄養表示で、食品中の炭水化物(糖質)量を確認する。少ない炭水化物(糖質)量の食品を選ぶことで急激な血糖値の上昇を避けることができる。

2、ローカーボ食による摂取栄養素の変化と今後の課題

日本人によるローカーボ食実施では、摂取たんぱく質・脂質がどのように変化するかが検討課題であった。開始3ヶ月後の食事日記の評価では、摂取カロリーは意外にも脂質摂取の増加にも関わらず有意に減少していた。これは、食事療法開始直後で「炭水化物(糖質)」への意識が強く、必要以上に制限する傾向にあることが伺えた。また、諸外国に比べ「魚類」や「大豆製品」の摂取が多い日本人でも、炭水化物(糖質)を制限し、食事摂取量は制限せずにたんぱく質・脂質の多い食品の摂取を促すと、動物性たんぱく質や脂質(魚類を除く)が有意に増加した。地域性や年代別にも特性があるように思われるため、今後はこれらを考慮した栄養指導法や臨床研究の確立を検討すべきであると考える。

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