日本ローカーボ食研究会

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演者4

名古屋ハートセンター心臓血管外科 米田正始

多くの生活習慣病の治療の基本は食事療法と運動療法であるが、食事療法が十分には効果をあげられないというケースがこれまで少なくなかった。それがまた生活習慣病の治療効果を不十分なものにする原因のひとつであったように思われる。

私は心臓外科医で手術にて心臓を治すことが本来の仕事であるが、手術だけでは患者さんの長期間の健康が維持できないケースを見ることが少なからずある。そうした場合は内科の先生方が、あるいは共同で、内科的治療を行いつつ問題解決にあたるようにしているが、メタボに関連した動脈硬化や高脂血症、高血圧、糖尿病などにもとづく病気が背景にある場合、食事療法が不十分なケースでは長期間の二次予防あるいは健康増進は必ずしも容易ではない。そうした中でローカーボ食を知り、心臓外科医にも必要な治療手段と考えるようになった。

ここでは血圧管理へのローカーボ食の応用について論じたい。

体重増加・肥満と高血圧の度合いに高い相関があることは多数の報告がある。体重を減らすことができれば血圧はある程度は下がる、これがEBMの教えるところである。同時に高脂血症や糖尿病にも改善効果がある。これを運動療法や薬物治療と組み合わせることで術後患者の長期予後を改善できる可能性がある。
発表ではまず心臓手術や大動脈手術のあとで、肥満のコントロール、食事療法の重要性を痛感させられたケースを3例ほど提示し、新しいローカーボ食の必要性を論じたい。

そのうえで体重減少が降圧に有用であるというEBMデータを供覧し、さらに若干例のローカーボ食の症例提示の中から、この食事療法の降圧効果を含めた利点を考察したい。

ローカーボ食は空腹感が少ないという特長があるため比較的容易に実施でき、かつその効果は大きなものがある。今後の高血圧治療や、さらには生活習慣病の治療のなかで有用な治療手段に発展する可能性を秘めていると思われる。

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