日本ローカーボ食研究会

日本ローカーボ食研究会

演者3

名古屋大学名誉教授(生物学)加藤 潔

ローカーボ食研究会への参加を機に、20年余にわたり何とか続けてきた血糖値や体重の測定結果と治療の記録を整理した。

全過程はpre DM2, pre to true DM2, DM2 under Low-Carbo Diet期の三期に大別できる。

Pre DM2期は1983年秋の職員健康診断で尿糖(+)が検出された時に始まる。精密検診のブドウ糖負荷試験(OGTT)により糖尿病の疑いを指摘され、その夏に顔面神経麻痺治療のために服用したステロイド剤が原因と見られた。3か月間の食後血糖値の観察のあと放免となった。この期は仕事を含め生活が最もcreativeであったためつい体重増と食事に対する注意を怠った。5年後(1989)偶然に朝食後の尿糖(+++)を見つけて内科を受診したところ、HbA1cが8.4%と高いことが判りカロリー制限の指示を受けHbA1cのモニターを始めた。主に主食の炭水化物と脂肪の制限を自己流で行い体重減を図ったところHbA1cは6.0%台へと改善した。HbA1cの改善と体重減との間に正の相関(r= 0.80)が見られた。1994年のOGTTでは2時間後血糖値は10年前より改善していた。

Pre to true DM2期には1998年に外科でステロイドを静注されるという事故に見舞われた。ベイスンの服用(約2年半)と同時にさらなる体重減を行った。7.5%まで上昇したHbA1cは一旦5.5%以下へと低下したがreboundして再び6.0%台前半へと上昇した。この時期はstressful lifeで悩んだ時期と重なる。

最後は灰本クリニックでのローカーボ食治療の時期(2004年から)である。夕食から炭水化物を減らすローカーボ食療法(代表計算値 1880kcal、PFC比[エネルギー比]=21:48:32 [%] by Sasakabe)に切り替えて現在に至る。この間2008年にOGTTを行っている。OGTTにおける2、3時間後の血糖値はこれまでになく高い値を示し、インスリンの分泌不足も明らかであった。HbA1cは緩やかな上昇傾向を示しながらもほぼ6.0%台後半を維持している。この時期のHbA1cと体重との間には相関が見られない。

以上の経過を踏まえ病状の進行と生活習慣、加齢との関係、医療環境、食事療法などについて患者の立場で感じたこと考えたことに触れる。 

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