日本ローカーボ食研究会

日本ローカーボ食研究会

印象記2

岐阜ハートセンター 管理栄養士 桂川曜子先生

 当院では院長の意向もあり、糖質制限食を導入しています。数年前は主食3食抜きを推奨していた時期もありましたが、ローカーボ研究会に参加させていただくようになり、考え方や指導内容が大きく変わりました。正しく知る糖質制限食の本も拝見させて頂き、日々の業務に取り入れています。
 今回も大変興味深いお話しで、私の中で大きく2つ知識を修得することができました。1つ目は、「どの食品由来の炭水化物がHbA1cの上昇と相関するか?」という臨床講義で、HbA1cを下げるために、とにかく主食を減すことが第一と考えていましたが、性別や年齢の違いで主食より他の食品由来の糖質がHbA1cと影響している可能性があると教えて頂きました。栄養指導では、まず、主食に注目し、HbA1cに応じて、量に違いがあるものの制限指導を行っていました。しかし、今回のお話で、性別や年齢、HbA1cの数値、食事内容から主食由来だけでなく、食事内容全体の糖質にもっと目を向けていくべきだと感じました。管理栄養士さんも話してみえましたが、非主食由来の糖質量も暗記し、食事記録をみて全体の糖質量をしっかり把握することが重要だと痛感しました。

 2つ目は、糖尿病の肥満パラドックスについて灰本先生や管理栄養士さんから講義をして頂きました。糖尿病の肥満パラドックスとは、糖尿病が発症した患者様では、やせよりも肥満の方が長生きするという内容でした。2014年の論文よりBMIと2型糖尿病の疾患別死亡危険度について30年間26万人を追跡した結果を提示して頂きました。それによると、総死亡、癌死では、BMI18.5~22.4がBMI30以上と同じぐらいハザード比が高いという結果でした。そして、BMI22.5~29.9では、上記のBMI群よりハザード比が低いという結果でした。肥満の方はやせよりHbA1cが高いことは予想されますが、BMIが高い方が長生きするということは目からうろこでした。糖尿病患者においてHbA1cを下げるより、BMI22.5以上の体重確保を行う重要性がよく理解できました。当院は循環器専門病院であり、心不全患者が多くみえます。心不全においても肥満患者のほうが生命予後がよいという論文があり、三大栄養素をしっかり摂るようにお話していますが、糖尿病患者においても痩せていかないような栄養指導・介入や定期的なモニタリングを行っていきたいと思いました。

毎回参加する度に新しい情報を頂けるので、次回も参加させて頂きたいと思います。
ありがとうございました。

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