日本ローカーボ食研究会

日本ローカーボ食研究会

第4回定期勉強会印象記:中部労災病院 栄養管理室 徳永佐枝子

セミナー参加者として印象記

中部労災病院 栄養管理室 徳永佐枝子

爽やかな秋晴れのもと、街路樹も黄色や赤色と色づきはじめた平成24年10月20日に開催された日本ローカーボ食研究会勉強会に参加いたしました。この勉強会では、灰本クリニック灰本 元先生の「糖尿病のローカーボ(糖質制限)治療―新たな治療戦略の提案―」講演と東京都健康長寿医療センター荒木厚先生の「高齢者糖尿病の臨床」講演の2本立てのあと症例検討会という内容でした。私は、以前よりローカーボ食に興味があり灰本先生の研究と実践方法について知りたいと思い参加し色々と感じたことを印象記として報告いたします。 
 糖尿病の治療は、数々の研究とインスリンや薬剤開発により劇的な進歩がみられ現在も様々な研究が続けられています。また、食事療法の過去を振り返れば厳しい糖質制限食から、バランスとカロリー制限を中心とした食事療法へ変化し、糖尿病交換表を利用した指導が長年実践されてきました。食品交換表は、糖尿病患者さんに食事療法を遵守してもらう指南書として活用されていますが、残念ながら食品交換表を理解し実践できる人は少なく煩雑な計算で食事療法が長続きしない人が多いことも事実です。今後は、各患者さんの特徴を把握し各個人が実行可能な方法、つまり、どこでも誰でも簡単に実践できる食事療法を研究する事が必要と考えます。
 最近は、カーボカウントを利用したり副菜である野菜を先に食べてその後に主食、主菜を食べるという順番に気をつける有効性についての発表も見られています。また、一部の方が発表されている厳しい糖質制限食がマスコミに取り上げられ各出版物が書店の店頭に並べられテレビ等での放映、インターネット間での情報など瞬く間に「糖質制限食を実践すれば誰でも体重減少、血糖コントロール改善」という耳触りの良い言葉だけが一人歩きしている現状が見られます。そのような中、灰本先生の緩やかな糖質制限食、階層化により糖質の量を加減する方法を科学的な裏付けを基にした指導法を聞いてまさしく爽やかな秋晴れのごとく、私の頭の中もクリアに整理できました。
また、荒木先生の講演は豊富な臨床経験、研究に基づき今後増えることが予想される高齢者糖尿病の問題点や薬剤の使い方など参加者が釘付けになる内容で大変有意義な勉強が出来ました。
 今回の勉強会に参加して、ローカーボ食は様々な症例を重ね問題点を克服することによりどこでも誰でも簡単に実践できる食事療法の一つとして患者さんの利益に繋がる可能性を秘めていると感じました。糖尿病治療は、まさしくチーム医療そのものであり患者さんが輪の中心で医療従事者と一緒に治療をするものと考えている私にとって、各職種の方があつまるこの勉強会は非常に居心地の良いものでした。これからも、症例検討や抄読会を重ね少しずつ患者さんにとって有益な食事指導の研究を続けていきたい感じた勉強会でした。

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