日本ローカーボ食研究会

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第3回定期勉強会印象記:村元秀行

 第3回勉強会に参加しました。当日はタクシーで会場の名古屋ルーセントタワーに向かいましたが、初めて訪れる建物でした。西区といっても名古屋駅の北にあり、内部も新しい会議室がいっぱいあり、整理係の方に先導されて、気持ちよく会場に入ることができました。新しい造りですが、公式HPによれば平成19年に開業しているとのこと。こんなビルがあったのか、と小さな驚きでした。

 症例検討会は灰本先生によって提示された症例で、1.5食ローカーボを続行中に、血糖コントロールが悪化した、というもの。灰本先生は、それまで投与されていたピオグリタゾンとグリメピリドを中止しておられ、このような手法は、多くの経験例から来る絶大なる自信があってこそ。自分はここまで踏み込めないだろうな、と思いつつ考えてみたのですが、実際どう対処すべきか、難しい症例でした。3グループに分かれてのディスカッションでしたが、中村先生のグループから出された、食事調査票に載っていない隠れた糖質の可能性、などの意見は、奥深い考察に感心しました。解答は、メトフォルミン投与で見事に改善したところから、糖新生の異常な亢進であったと確認された訳ですが、なるほど、ローカーボ食と最も相性のいい薬剤はメトフォルミン、と常日頃思っていたことと、うまくマッチして爽快な解後感が得られました。

 次の英文抄読会を私が担当させていただきました。何しろ本年2月に掲載されたばかりの食事療法のレビューですから、これほどタイムリーな文献は、是非勉強会の中で皆さんに知っていただきたく、和訳をつくるという単純作業をしていった次第です。実際、読破してみると、様々な人種と様々な食習慣があり、何が最適なのか、まだ今後の検討課題は山積み状態、と感じます。次回も皆さんからの意見が聞きたいと思います。

 岐阜ハートセンターの管理栄養士の佐藤先生から、脂質の種類に関するご講演がありました。確かに日頃手に入る脂質は多種多彩で、どのような脂質がどう優れているのか、簡単ではないと感じていたところでした。脂質を怖がらずに積極的に摂取しましょう、と食事指導する上で、脂質に関する知識を増す必要性は大きいと思います。次回、後編を講じていただけるとのことで、大いに期待しています。

 メインの東京済生会病院内科部長の島田先生のご講演が、最後にありました。1型糖尿病がご専門の先生のお話を聞けるのは大変貴重な機会でした。1型糖尿病にもその発症機序が様々で、話題の緩徐進行型も含めてのお話でした。開業医を訪れる糖尿病患者さんといえば職場検診で発見された例が多く、そうであれば全例2型糖尿病ですが、いずれインスリン注射が必要になる緩徐進行型について、基本的知識を得ることができました。専門病院ならではの研究は、開業医が日常診療で行っている内容をはるかに超えるものでした。今回は比較的少人数の勉強会でしたが、島田先生には、わざわざご足労いただき、大いに感謝いたします。

 こうして第3回勉強会が無事終了したわけですが、糖尿病の世界は、勉強会に参加すればするほど、もっと知りたいと思わせてくれます。次の勉強会が、今から楽しみです。最後に、この勉強会を通して司会をしてくださった小早川先生には、少ない時間のなかでタイムキーパーの役割も大変だったと思います。お疲れ様でした。参加者の皆様もお疲れ様でした。

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