日本ローカーボ食研究会

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24.飽和及びトランス不飽和脂肪酸の摂取と総死亡率、心血管疾患、および2型糖尿病の発症リスク

飽和及びトランス不飽和脂肪酸の摂取と総死亡率、心血管疾患、および2型糖尿病の発症リスク: 系統的レビューと観察研究のメタ分析
Russell J de Souza,et,al. BMJ (2015) 351:h3978 | doi: 10 .113 6/bmj.h3978

目標: 飽和脂肪とトランス不飽和脂肪の摂取と総死亡率、心血管疾患(CVD)と関連死亡率、冠動脈性心疾患(CHD)と関連死亡率、虚血性脳卒中、および2型糖尿病との関連を系統的に吟味すること。

設定:系統的レビューとメタ解析

情報源:開始から20015年5月1日までのMedline、Embase、Cochrane Central Registry of Controlled Trials, Evidence-Based Medicine Reviews、CINAHLで、被検索論文と従前の総説の追加文献一覧を含むデータベース。

研究の適格性判断基準:飽和脂肪、およびトランス不飽和脂肪(総計、工業製品、または反芻動物性由来)と総死亡、CHD/ CVDの死亡率、総CHD、虚血性脳卒中、または2型糖尿病との関連を報告する観察研究。

データ抽出と統合:2人の評者がデータを独立して抽出し、取り上げる研究が偏るリスクを評価した。多変数相対リスクはまとめて管理した。不均質性については評価して定量化した。潜在的な出版バイアスは評価してサブグループ分析を行った。証拠の質と確実性を評価するためにGRADEアプローチを使用した。

結果:飽和脂肪については、関連性の解析毎に3件-12件の前向きコホート研究(参加者が90,501-339,090人の5-17件の比較研究)を集めた。飽和脂肪の摂取は以下に示すように死亡率及び各疾病とは関連していなかった:総死亡率(相対リスク0.99、信頼区間95%0.91~1.09)、CVDによる死亡率(0.97、0.84~1.12)、総CHD(1.06、0.95~1.17)、虚血性脳卒中(1.02、0.9~1.15)、2型糖尿病(0.95、0.88~1.03)。飽和脂肪とCHD死亡率(1.15、1.36~0.97;P = 0.10)については、関連性の欠如を云うには確固たる証拠が無かった。
 トランス脂肪については、各関連性解析につき1〜6件の前向きコホート研究を集めた(参加者が10,2942〜230,135人の2-7件の比較研究)。総トランス脂肪の摂取は、総死亡率(1.34、1.16~1.56)、CHD死亡率(1.28、1.09~1.5)、および総CHD(1.28、1.09~1.5) と関連があったが、虚血性脳卒中(1.21、1.1〜0.33)または2型糖尿病(1.10、0.95~1.27)とは関連してなかった。
工業的に製造したトランス脂肪と反芻動物由来の脂肪とを比べると、CHD死亡率は1.18(1.04〜1.33)対1.01(0.71~1.43)、CHDは1.42(1.05~1.92)対0.93(0.73~1.18)で、工業的に製造したトランス脂肪には関連がみられた。反芻動物由来のトランスパルミトレイン酸は2型糖尿病の発症と逆相関していた(0.58、0.46~0.74)。飽和脂肪が全てのアウトカムと関連する確度は“大変低い”。トランス脂肪とCHD アウトカムの関連確度は“中程度”で、他のアウトカムとは“非常に低い”か“低い”。

結論:飽和脂肪は、総死亡率、CVD、CHD、虚血性脳卒中、または2型糖尿病とは関連しないが,その根拠には方法論的限界があり不均一である。トランス脂肪については恐らく、反芻動物トランス脂肪に比べ工業製品のトランス脂肪は摂取量が高いレベルにあるため,総死亡率、総CHDおよびCHD死亡率と関連する。食事のガイドラインについては、他の主栄養をトランス脂肪と飽和脂肪に替えるよう勧める進ことが健康に及ぼす効果を慎重に考慮しなければならない。

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